抗CCP抗体が高い関節リウマチは重症?治療を強めるべき?|長久手クリニック
すでに関節リウマチと診断されている方から、
と尋ねられます。
検査結果に大きな数字が書かれていると、不安になると思います。特に抗CCP抗体がかなり高いと、「このまま関節がどんどん悪くなるのではないか」と心配になるのは当然だと思います。
RFや抗CCP抗体が高いことは、関節リウマチの今後を考えるうえで大切な情報です。軽視はしません。
ただし、RFや抗CCP抗体の数字だけを見て、「重症」「治療が効いていない」「生物学的製剤が必要」と判断はしません。
長久手クリニックでは、基本的にRFや抗CCP抗体の値を繰り返し追いながら治療を決めているわけではありません。
患者さんの症状と、実際に腫れている関節が残っていないかどうかを大切にしています。
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この記事は、すでに関節リウマチと診断されている方を対象にしています。
「抗CCP抗体が陽性・高値だった。関節も痛い。関節リウマチなの?」という方はこちらをご覧ください。
RF・抗CCP抗体が高いと、関節リウマチは重症ですか?
一番気になるところだと思います。
RFや抗CCP抗体が高い方では、関節破壊が進みやすかったという研究、特に抗CCP抗体についての報告もあります。しかし、「今の関節リウマチが重症である」こととは、同じ意味ではありません。
また、抗CCP抗体は高ければ高いほど、その数字に比例して病気が強くなると単純に考えられるものでもありません。
そのため、
という判断はしません。
高いことは今後を考える大切な情報として把握しながら、今の関節の状態を診て治療していくことが大切です。
長久手クリニックでは、基本的にRFや抗CCP抗体の値を追っていません
ここは患者さんには少し意外かもしれません。
長久手クリニックでは、関節リウマチと診断したあと、基本的にはRFや抗CCP抗体を何度も測定して、その数字の上下を追いながら治療を決めているわけではありません。
たとえば、
「RFが200から100まで下がったから治療成功」
「抗CCP抗体が500のままだから、もっと薬を増やそう」
というような治療の考え方はしていません。
MMP-3という関節リウマチで測定されることのあるマーカーについても、長久手クリニックでは基本的にその数字を繰り返し追って治療を決めているわけではありません。
では、何を大切にしているのか。
患者さんの症状です。
そして、診察したときに実際に腫れている関節が残っていないかどうかです。
RFについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
治療で消したいのは、RFや抗CCP抗体ではなく関節の炎症です
RFや抗CCP抗体が高いと、「この数字を下げなければいけない」と思われるかもしれません。
高い数字を軽視はしませんが、高い数字そのものを治療しているわけでもありません。治療で消したいのは、関節の炎症です。
関節リウマチの炎症を、患者さんには「関節の中で起きている火事」と説明することがあります。
RFや抗CCP抗体が高いことは、この先の病気を考えるうえで大切な情報です。
しかし、RFや抗CCP抗体が高いから消防車を呼ぶのではありません。
実際に関節の火事が消えていないなら、必要な治療までしっかり使って消火します。
反対に、RFや抗CCP抗体が高くても、患者さんの症状が落ち着いていて、腫れている関節もなく、炎症が十分に抑えられているのであれば、その数字だけを理由に薬を強くするわけではありません。
抗CCP抗体が高いという理由だけで、生物学的製剤を使うわけではありません。
抗CCP抗体が高いことは今後を考える大切な情報として把握します。
そのうえで、現在の治療でも症状や関節の腫れが残り、炎症を十分に抑えられていないのであれば、次の治療として生物学的製剤まで含めて考えます。
少しでも腫れている関節が残っていれば、「種火」が残っていると考えます
関節リウマチでは、全体としてかなり良くなっていても、診察するとまだ少し腫れている関節が残っていることがあります。
以前はたくさんの関節が腫れていたけれど、今は1か所だけ。
それなら十分よくなったと思われるかもしれません。
もちろん、そこまで改善したこと自体はよいことです。
ただ、長久手クリニックでは、残っているその腫れを火事のあとの「種火」のように考えます。
ほとんど火が消えたように見えても、種火が残っている。
その状態で薬を弱めると、再び炎症が広がってくることがあります。
そのため、明らかに腫れている関節がまだ残っているのであれば、
「かなり良くなったから、そろそろ薬を減らそう」
と考えるよりも、
「まだ関節の炎症を十分に消せていないのではないか」
と考えます。
現在の治療で炎症を十分に抑えられていないのであれば、減量するのではなく、治療を次のステップへ進めることを考えます。
メトトレキサートで炎症が十分に消えていれば、それでよい
関節リウマチの治療では、メトトレキサートが中心となる薬です。
メトトレキサートを中心に治療して、
という状態になっているのであれば、それでよいのです。
その状態で、
「抗CCP抗体がまだ高いから、もっと薬を増やしましょう」
とは考えません。
抗CCP抗体を正常値まで下げることが、関節リウマチ治療の目標ではないからです。
効果だけではなく、飲み方、副作用、葉酸の使い方なども含めて詳しく解説しています。
では、生物学的製剤が必要になるのはどんなときですか?
抗CCP抗体が高い方から、
「これだけ高かったら、生物学的製剤を使うのでしょうか?」
と聞かれることがあります。
抗CCP抗体が高いという理由だけで、生物学的製剤を使うわけではありません。
まずメトトレキサートを中心に治療し、患者さんの症状と、腫れている関節が残っていないかを確認します。
炎症が十分に消えているのであれば、RFや抗CCP抗体が高いという理由だけで生物学的製剤へ進む必要はありません。
反対に、メトトレキサートなどで治療しても、
のであれば、治療を次のステップへ進めます。
その選択肢の一つが生物学的製剤です。
今後を考える大切な情報として把握する
痛み、こわばり、腫れている関節が残っていないかを確認する
RF・抗CCP抗体が高いという理由だけでは治療を強くしない
「種火」が残っていると考え、治療を次のステップへ進める
抗体値を下げるためではなく、残っている関節炎をしっかり抑えるために使う
「RF・抗CCP抗体が高いから生物学的製剤」ではなく、「関節の炎症を十分に抑えられていないから次の治療へ」です。
生物学的製剤を過度に怖がらなくてよいと思います
「生物学的製剤」と聞くと、不安になる方もいらっしゃると思います。
「ものすごく強い薬なのでは」
「副作用が怖い」
「できるだけ最後まで使わない方がよいのでは」
と考える方もいます。
もちろん、生物学的製剤にもメリットと副作用があります。何も考えずに使う薬ではありません。
しかし、「強い薬だから最後まで避ける」という考え方も違います。
関節炎は、関節の中で起きている「火事」のようなものです。
大切な家が燃えているのに、じょうろで水をかけ続けるだけでは、家を守れないことがあります。
必要なときには消防車でしっかり消火するように、関節リウマチでも、炎症の強さに見合った治療でしっかり炎症を抑えることが大切です。
少し強い言い方をすれば、
薬を使って、そのままなら進んでいくかもしれない「運命を曲げる」
ということです。
生物学的製剤を使うこと自体を過度に怖がるのではなく、今の炎症を消すために必要な治療なのかを考えることが大切です。
RFや抗CCP抗体が下がらないと、治療失敗ですか?
RFや抗CCP抗体が高いままというだけで、治療失敗とは考えません。
ここは、高い数字を見て不安になっている方にぜひ知っていただきたいところです。
治療を始めて、痛みやこわばりが良くなった。
腫れている関節もなくなった。
それでも以前高かったRFや抗CCP抗体の数字が気になる、という方がいます。
治療に伴ってRFが下がることはあります。抗CCP抗体が下がることもあります。
しかし、その変化と関節リウマチの治療効果が常に一致するわけではありません。
「抗CCP抗体が500から100になったから治療成功、500のままだから治療失敗」という病気の見方はしません。
これが、長久手クリニックで基本的にRFや抗CCP抗体の値を繰り返し追っていない理由でもあります。
数字よりも、患者さんの症状と、実際に腫れている関節が残っていないかを大切にしています。
EULARでも、抗体値を下げることが治療目標ではありません
現在の関節リウマチ治療では、治療目標まで炎症を抑える「Treat to Target」という考え方が基本です。
2025年に改訂されたEULARの関節リウマチ治療推奨でも、メトトレキサートを中心に治療を開始し、十分な効果が得られなければ次の治療へ進むという流れが示されています。
以前はRFや抗CCP抗体などの予後不良因子も、次の治療へ進む際の分岐に使われていました。
2025年の改訂ではその分岐はよりシンプルになり、メトトレキサートなどを中心とした治療で治療目標に届かなければ、生物学的製剤を追加するという考え方になっています。
RFや抗CCP抗体の数字そのものではなく、治療目標まで関節の炎症を抑えられているかが大切です。
また、薬の減量を考えるのは、十分に安定した寛解が続いてからです。
明らかに腫れている関節が残っているのであれば、「薬を減らす時期」ではなく、「今の治療で十分なのか」を考えます。
メトトレキサートから生物学的製剤まで、治療をどのように進めるのかはこちらで詳しく解説しています。
まとめ|RF・抗CCP抗体の数字だけを見て不安にならなくて大丈夫です
RFや抗CCP抗体が高いことは、関節リウマチの今後を考えるうえで大切な情報です。
特に抗CCP抗体は、将来の関節障害を考えるうえで重要な情報ですので、軽視はしません。
しかし、
ではありません。
長久手クリニックでは、基本的にRFや抗CCP抗体の値を繰り返し追って治療を決めているわけではありません。
大切にしているのは、患者さんの症状と、腫れている関節が残っていないかどうかです。
高いことは今後を考える大切な情報として把握しながら、今の関節の状態を診て治療していくことが大切です。
RFや抗CCP抗体が高くても、症状が落ち着き、関節の炎症が十分に消えているのであれば、その数字だけを理由に薬を強くする必要はありません。
反対に、腫れている関節が残っているのであれば、そこが「種火」になっているかもしれません。
メトトレキサートで十分に炎症が消えているのであれば、それでよい。
十分に消えていないのであれば、治療を次のステップへ進める。
必要であれば、生物学的製剤まで使ってしっかり炎症を抑える。
すでに関節リウマチと診断され、RFや抗CCP抗体の高さが不安な方、現在も関節の腫れや症状が残っている方、メトトレキサートや生物学的製剤を含め今後の治療を確認したい方は、症状と現在の関節の状態、お薬の内容を合わせて確認します。
リウマチ・膠原病外来の診療予約 関節リウマチの治療継続・治療調整・生物学的製剤の相談・Smolen JS, et al. EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biologic disease-modifying antirheumatic drugs: 2025 update.
・Syversen SW, et al. High anti-cyclic citrullinated peptide levels and an algorithm of four variables predict radiographic progression in patients with rheumatoid arthritis: results from a 10-year longitudinal study.
・de Moel EC, et al. In rheumatoid arthritis, changes in autoantibody levels reflect intensity of immunosuppression, not subsequent treatment response.
浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




