関節リウマチ治療の流れ|薬の選び方と不安を最新の欧州リウマチ学会推奨から解説|長久手市・日進市のリウマチ科
関節リウマチと診断されると、「これからどんな治療をするのだろう」「強い薬を使うのは怖い」と不安に感じますよね。
その不安の一部は、関節リウマチ治療の全体像が見えにくいことから来ているのかもしれません。
また、関節リウマチ治療に関する情報は多く、古い情報と新しい情報が混在しているため、どの情報を参考にすればよいのか、取捨選択が難しい面もあります。
この記事では、2026年に論文化されたEULAR(欧州リウマチ学会)の最新の推奨をもとに、治療の全体像を知ることで、患者さんの不安や疑問が少しでも軽くなればよいな、という思いで、2026年6月時点での関節リウマチ治療の考え方を整理します。
関節リウマチの診療では、EULARやACRという名前が出てくることがあります。
EULARは欧州リウマチ学会、ACRは米国リウマチ学会にあたる、国際的なリウマチ診療の専門組織です。
関節リウマチの分類基準や治療方針を考えるうえで、世界中の医師が参考にしている重要な学会です。
もちろん、日本で実際に治療を行う場合には、日本で承認されている薬剤、日本の保険診療、日本リウマチ学会の考え方、患者さん一人ひとりの状態を踏まえて判断することが大切ですが、個人的にEULARの考えが大好きで情報を追っています。
この記事では、その中でも2026年に論文化された最新(2026年6月時点)のEULARの関節リウマチ治療推奨を参考にしながら、現在の関節リウマチ治療の世界的な流れを患者さん向けに整理したいと思います。
関節リウマチの薬には、メトトレキサート、イグラチモド、サラゾスルファピリジン、生物学的製剤、JAK阻害薬など、いくつもの選択肢があります。薬の名前だけを並べられると、どれが自分に必要なのか、どの順番で使うのか、なぜその薬を勧められるのかが分かりにくいと思います。
また、診察室では「なるべく弱い薬がよいです」「できれば強い薬は使いたくありません」と言われることもあります。
そのお気持ちはとても自然です。
ただし、関節リウマチ治療では、「弱い薬=安全」「弱い薬=自分に合っている」とは限りません。
効果が不十分な薬を長く続けることで、関節の炎症が残り、関節破壊が進んでしまうことがあります。関節リウマチでは、薬の強さだけではなく、「その患者さんにとって、関節の炎症をきちんと抑えられる治療かどうか」が重要です。
世界的な関節リウマチ治療の流れは、かなり明確です。
まず、使えない理由がなければ、メトトレキサートという関節リウマチ治療の中核となる薬を使用します。
そして、メトトレキサートを中心とした治療で十分に効果が得られない場合には、従来型の飲み薬をいくつも組み合わせて長く粘るというより、生物学的製剤という自己注射薬の併用を前向きに考える流れになっています。
この点が、2026年に論文化された最新(2026年6月時点)のEULARの関節リウマチ治療推奨で明確になった大きな変化です。詳しくは、後述する「EULAR推奨6:メトトレキサートで十分に効かない場合、次は生物学的製剤の上乗せを考える」の項目で説明します。
もちろん、すべての患者さんに同じ治療を行うわけではありません。年齢、腎機能、肝機能、肺疾患、感染症リスク、妊娠希望、医療費、自己注射が可能かどうかなど、全身の状態を内科的に踏まえて治療を選択します。
私達は、関節リウマチ・膠原病だけでなく腎臓内科も専門としており、腎機能や生活習慣病、感染症リスクなどを含めた内科的な評価を大切にしています。
治療の流れを知ることで、「なぜこの薬を使うのか」「なぜ次の治療を考えるのか」「よくなったあとはどうするのか」が少しでも分かり、不安が軽くなれば幸いです。
EULAR推奨4:メトトレキサートは初期治療の中心
EULAR原文の要旨
メトトレキサートは初期治療戦略の中心に位置づける。メトトレキサートが使えない場合、または早期に継続が難しい場合は、レフルノミドまたはサラゾスルファピリジンを検討する。
長久手クリニックの解説
EULARでは、関節リウマチと診断したらできるだけ速やかに、関節リウマチに対する薬による治療を開始し、持続的な寛解または低疾患活動性を目標にすることが示されています。
ここでいう関節リウマチに対する薬は、専門的にはDMARDs(ディーマーズ)と呼ばれます。
DMARDsとは、痛み止めや湿布のように一時的に痛みを和らげる薬ではなく、関節の炎症や関節破壊の進行そのものを抑えるための薬の総称です。
メトトレキサートも、このDMARDsの中に含まれる薬です。
その中でもメトトレキサートは、現在の関節リウマチ治療において中心的な位置づけにある薬です。
つまり、関節リウマチ治療では、痛み止めや湿布だけで長く様子を見るのではなく、メトトレキサートを含むDMARDsを早期に開始し、関節の腫れや炎症が残らない状態を目指します。
日本の実臨床でも、使えない理由がなければメトトレキサートを軸に治療を考えることが多くあります。
EULAR 2025 updateでも、メトトレキサートは初期治療戦略の中心に位置づけられています。
一方で、メトトレキサートが使えない方、または副作用などで早期に継続が難しい方では、他のDMARDsを検討します。
EULARでは、メトトレキサートが使えない場合、または早期に継続が難しい場合に、レフルノミドまたはサラゾスルファピリジンを検討するとされています。
ただし、日本の実臨床では、EULARに記載されている薬剤と、日本国内でよく使われる薬剤の位置づけが完全に同じではありません。
当院では、メトトレキサートが使いにくい場合や、補助的に他の薬剤を検討する場合に、患者さんの状態に応じて推奨にあるサラゾスルファピリジンや記載はないですが日本や中国からの報告が盛んなイグラチモドを検討することがあります。記載のあるレフルノミドは日本人においては間質性肺炎の報告が多いことから当院では積極的には使用していません。
メトトレキサート以外の関節リウマチ治療薬については、イグラチモドについて、サラゾスルファピリジンについてでも解説しています。
ただし、最初から生物学的製剤やJAK阻害薬を使う方針が標準になったわけではありません。
EULARでは、早期関節リウマチにおいて、生物学的製剤がメトトレキサート+短期ステロイドを明確に上回るとはいえないため、初期治療としてはメトトレキサートを軸に考える方針が維持されています。
ただし、腎機能低下、肝障害、間質性肺炎のリスク、妊娠希望、副作用などがある場合には、患者さんごとに別の治療を検討する必要があります。
メトトレキサートについては、日本リウマチ学会の患者さん向け資料「メトトレキサートを使用する患者さんへ 第4版」が参考になります。
長久手クリニックでも、この冊子を利用しながらメトトレキサートについてご説明しています。
インターネット上にはさまざまな情報がありますが、まずは日本リウマチ学会が作成している冊子やPDFを読んでいただくことが、メトトレキサートを正しく理解し、必要以上に怖がりすぎず、必要な点はきちんと注意するという「正しい怖がり方」につながると思います。
EULAR推奨5:ステロイドは短期間の橋渡しとして使い、できるだけ早く中止を目指す
EULAR原文の要旨
従来型の関節リウマチに対する薬を開始または変更する際には、短期間のステロイドの併用を検討してよい。ただし、可能な限り速やかに減量・中止する。
長久手クリニックの解説
従来型の関節リウマチに対する薬とは、メトトレキサートやサラゾスルファピリジンなどを指します。
これらの薬は効果が出るまでに一定の時間がかかります。
そのため、治療開始時や薬剤変更時に、短期間だけステロイドを併用することがあります。
EULAR 2025 updateでも、この考え方は維持されています。
ただし、重要なのは「短期間」という点です。
ステロイドは関節炎を速やかに抑える有用な薬剤ですが、長期使用では感染症、骨粗鬆症、糖尿病、血圧上昇、体重増加などの問題が出ることがあります。
関節リウマチや膠原病でステロイドを使うとき、「どこまで減らせば安心なのか」が不安になる方は少なくありません。ステロイド減量の考え方については、関節リウマチや膠原病へのステロイドへの不安。どこまで減らせば「安心」なの?でも解説しています。
関節リウマチの治療が本当にうまくいっているかどうかは、「ステロイドを使っているから落ち着いている」のか、「関節リウマチに対する薬だけで病勢を抑えられている」のかで意味が変わります。
EULARの考え方では、ステロイドを中止しても寛解または低疾患活動性を維持できている場合に、関節リウマチに対する薬の治療が成功していると考えます。
逆に、病勢を抑えるためにステロイドが必要な状態が続く場合には、関節リウマチに対する薬の調整や変更を考える必要があります。
EULAR推奨6:メトトレキサートで十分に効かない場合、次は生物学的製剤の上乗せを考える
EULAR原文の要旨
従来型の関節リウマチに対する薬で治療目標に到達しない場合は、生物学的製剤を追加する。JAK阻害薬も検討可能だが、関連するリスク因子を十分に考慮する。
長久手クリニックの解説
今回のEULAR 2025 updateで、個人的に最も大きな変更点だと感じるのがこの項目です。
これまでのEULAR推奨では、メトトレキサートと短期グルココルチコイドによる初期治療で十分な効果が得られなかった場合、予後不良因子の有無によって次の治療を分ける考え方がありました。
予後不良因子としては、関節腫脹数が多いこと、CRPや赤沈などの炎症反応が高いこと、リウマチ因子や抗CCP抗体などの自己抗体が陽性、特に高値であること、早期から骨びらんを認めること、2種類以上の従来型の関節リウマチに対する薬で効果不十分であることが挙げられていました。
従来の考え方では、これらの予後不良因子がある場合には、メトトレキサートに生物学的製剤またはJAK阻害薬を追加することが推奨されていました。
一方で、これらの因子が明らかでない場合には、別の従来型の関節リウマチに対する薬を追加・変更することも選択肢とされていました。
しかし、EULAR 2025 updateでは、この「予後不良因子の有無で層別化して次の治療を決める」という考え方が整理され、削除されました。
背景には、メトトレキサートで効果不十分だった患者さんに対して、別の従来型の関節リウマチに対する薬を追加しても有効性が限られること、他の従来型の薬を追加するよりも生物学的製剤を追加した方が治療継続性が高いこと、さらにバイオシミラーの普及によって生物学的製剤のコスト面の問題が以前より小さくなってきたことがあります。
メトトレキサートと短期グルココルチコイドによる初期治療で十分な効果が得られないこと自体が、すでに予後不良を示すサインである、という考え方になっています。
つまり、明らかな骨びらんがないから、自己抗体が高くないから、という理由だけで、効果不十分な治療を長く続けるのではなく、治療目標に届いていない場合には、次の段階の治療を考えることがより明確になりました。
当院の実臨床に近い整理としては、メトトレキサートを中心とした治療で十分な効果が得られない場合には、別の飲み薬を追加して長く粘るというより、生物学的製剤の上乗せを前向きに考える流れになります。
もちろん、患者さんの年齢、合併症、感染症リスク、医療費、希望、日本国内での保険診療上の条件などによって、別の関節リウマチに対する薬を検討する場面はあります。
ただ、治療目標に届いていない状態で、効果不十分な治療を長く続けることは避けるべきです。
JAK阻害薬についても、EULAR上は選択肢として残されています。効果のある薬剤であることは間違いありません。
ただし、EULARの推奨を作成する会議の中でも、JAK阻害薬については議論がありました。
その議論は、JAK阻害薬のリスク因子については触れないべきだという意見から、「JAK阻害薬は、生物学的製剤が効果不十分だった場合にのみ使用すべきである」と明記すべきという意見まで幅があったとされています。
最終的には、JAK阻害薬の位置づけを大きく変える新たな対照試験データはないとして、2022年版と同様に、生物学的製剤と同じ段階で検討可能だが、関連するリスク因子を十分に考慮する、という表現が維持されました。
当院でも、JAK阻害薬は効果のある重要な薬剤である一方、早い段階から安易に前面に出すというより、心血管イベント、悪性腫瘍、血栓塞栓症、感染症リスクなどを十分に確認したうえで、慎重に位置づける薬剤と考えています。
特に高齢の方、喫煙歴のある方、動脈硬化リスクが高い方、悪性腫瘍の既往がある方、血栓症リスクがある方では、生物学的製剤を優先して検討することが多くなります。
生物学的製剤には、1週間に1度、2週間に1度、4週間に1度など、薬剤によって異なる間隔で自己注射が可能な薬があります。
生物学的製剤の自己注射については、通院間隔、注射の方法、不安になりやすい点を含めて、長久手クリニックの生物学的製剤自己注射でも解説しています。
患者さんの病状、合併症、感染症リスク、通院しやすさ、自己注射が可能かどうか、医療費などを踏まえながら、その方に合った治療を選択していきます。
EULAR推奨3:治療を見直すタイミングは3か月と6か月を意識する
EULAR原文の要旨
疾患活動性が高い時期は、1〜3か月ごとに頻回に評価する。治療開始後3か月以内に改善がみられない場合、または6か月以内に治療目標に到達しない場合は、治療方針を調整する。目標が維持できている場合は、評価間隔を延ばしてよい。
長久手クリニックの解説
関節リウマチの薬は、出して終わりではありません。
治療を始めた後に、関節の腫れ、痛み、朝のこわばり、炎症反応、日常生活への影響などを確認しながら、必要に応じて次の一手を考えます。
EULARでは、活動性が高い時期には1〜3か月ごとの評価を推奨しています。
また、治療開始後3か月以内に十分な改善がない場合、6か月以内に寛解または低疾患活動性という治療目標に到達しない場合には、治療方針を見直すことが勧められています。
これはTreat to Target、つまり目標達成に向けて治療を調整するという考え方です。
メトトレキサート+短期ステロイドで効果不十分だった後に、どの薬剤を選ぶとしても、3か月以内に疾患活動性を十分に下げ、6か月以内に寛解または低疾患活動性を目指すという考え方が軸になります。
一方で、病状が安定している場合には、診察や検査の間隔を延ばすことも可能です。
活動性が高い時期と、安定している時期で、通院頻度や検査頻度を変えていくことが現実的です。
EULAR推奨7:生物学的製剤やJAK阻害薬は、可能ならメトトレキサートなどと併用する
EULAR原文の要旨
生物学的製剤またはJAK阻害薬は、原則として従来型の関節リウマチに対する薬と併用する。従来型の薬を併用できない場合は、IL-6経路阻害薬やJAK阻害薬が、他の生物学的製剤より有利な場合がある。
長久手クリニックの解説
生物学的製剤やJAK阻害薬は、可能であればメトトレキサートなどの関節リウマチに対する薬と併用することが基本です。
特にメトトレキサートを併用できる場合には、生物学的製剤の効果が安定しやすく、薬剤によっては抗薬物抗体の問題を減らせることもあります。
一方で、すべての患者さんがメトトレキサートやその他の関節リウマチに対する薬を使えるわけではありません。
腎機能低下、肝障害、肺疾患、副作用、妊娠希望、年齢、感染症リスクなどにより、併用が難しい場合があります。
そのような場合には、単剤でも効果を期待しやすい薬剤を選ぶ必要があります。
EULAR 2025 updateでは、従来型の関節リウマチに対する薬を併用できない患者さんでは、IL-6経路阻害薬やJAK阻害薬が他の生物学的製剤より有利な場合があるとされています。
ただし、JAK阻害薬については、安全性リスクを十分に考慮する必要があります。
当院では、メトトレキサートが使える方では、メトトレキサートを軸にして生物学的製剤を併用する形をまず考えます。
メトトレキサートが使いにくい方では、単剤使用でも効果が期待しやすい薬剤を検討しますが、JAK阻害薬については安全性背景をより慎重に確認します。
EULAR推奨8:生物学的製剤で効果不十分な場合は、別の薬剤への変更を考える
EULAR原文の要旨
生物学的製剤またはJAK阻害薬で効果不十分な場合は、別の生物学的製剤またはJAK阻害薬への変更を検討する。TNF阻害薬またはIL-6受容体阻害薬が効果不十分だった場合は、別の作用機序の薬剤に変更してもよいし、同じ系統の別薬剤を使用してもよい。
長久手クリニックの解説
関節リウマチでは、最初に選んだ生物学的製剤やJAK阻害薬が、すべての患者さんに十分効くわけではありません。
効果が不十分な場合や、副作用で継続が難しい場合には、別の薬剤に変更します。
薬剤変更には、大きく2つの考え方があります。
ひとつは、作用機序を変える方法です。
たとえばTNF阻害薬で効果不十分な場合に、IL-6阻害薬、T細胞共刺激調節薬など、別の作用機序の薬剤へ変更する考え方です。
もうひとつは、同じ系統の中で別の薬剤へ変更する方法です。
たとえば、あるTNF阻害薬で効果が不十分だった場合に、別のTNF阻害薬へ変更することがあります。
EULAR 2025 updateでは、この推奨は前回から大きく変更されていません。
実臨床では、薬剤変更の判断は単純ではありません。
生物学的製剤やJAK阻害薬が複数回変更になると、「治療がうまくいっていないのでは」と不安になることがあります。薬剤変更の考え方については、生物学的製剤・JAK阻害薬が複数変わって不安な方へでも解説しています。
効果不十分なのか、副作用で継続困難なのか、服薬・注射のアドヒアランスに問題があるのか、感染症や合併症の影響があるのか、あるいは炎症ではなく線維筋痛症や変形性関節症などによる痛みが残っているのかを確認する必要があります。
そのうえで、関節の腫れ、痛み、炎症反応、画像所見、患者さんの生活背景を含めて、次の薬剤を選択していきます。
EULAR推奨9:寛解しても薬の完全中止は難しく、減量を慎重に考える
EULAR原文の要旨
グルココルチコイドを中止でき、かつ持続的寛解にある場合でも、DMARDsの継続が推奨される。ただし、用量の減量は検討してよい。
長久手クリニックの解説
関節リウマチの治療で患者さんからよく聞かれるのが、「よくなったら薬をやめられますか」という質問です。
残念ながら、現在の考え方では、関節リウマチの薬を完全に中止するのは難しそうです。
EULAR 2025 updateでも、ステロイドを中止できていて、かつ持続的な寛解にある場合でも、関節リウマチに対する薬は継続することが推奨されています。
一方で、病状が十分に安定している場合には、薬の量を減らすことや、投与間隔を延ばすことは検討できます。
ここで大切なのは、「減量」と「中止」は違うという点です。
関節リウマチが落ち着いている場合、薬の量を少し減らしたり、注射の間隔を延ばしたりすることはあります。
しかし、すべての薬を完全にやめてしまうと、再燃することが少なくありません。
そのため当院では、まずステロイドを中止できる状態を目指します。
そのうえで、寛解または低疾患活動性が安定して続いている場合に、関節リウマチに対する薬の減量を慎重に検討します。
一方で、自己判断で薬を中止することは勧められません。
関節の腫れ、痛み、朝のこわばり、CRPなどの炎症反応、関節エコー所見、これまでの再燃歴などを確認しながら、主治医と相談して少しずつ調整する必要があります。
関節リウマチ治療の現実的な目標は、「薬を完全にゼロにすること」よりも、「副作用をできるだけ少なくしながら、関節破壊を防ぎ、日常生活を安定して続けられる状態を維持すること」だと考えています。
長久手クリニックでの関節リウマチ治療の考え方
今回のEULAR 2025 updateを読むと、治療の流れとしてはかなり明確です。
まず、関節リウマチと診断したら、できるだけ早く関節リウマチに対する薬を開始します。
初期治療では、使えない理由がなければメトトレキサートを中心に考えます。
そして、メトトレキサートを中心とした治療で十分な効果が得られない場合には、別の飲み薬を追加して長く様子を見るというより、生物学的製剤の上乗せを前向きに考える流れになっています。
もちろん、すべての患者さんに同じ治療を行うわけではありません。
年齢、腎機能、肝機能、肺疾患の有無、感染症リスク、悪性腫瘍の既往、心血管リスク、妊娠希望、通院しやすさ、自己注射が可能か、医療費、患者さんの希望などを踏まえて、治療を選択します。
JAK阻害薬については、効果のある重要な薬剤である一方、安全性の面で慎重に考えるべき薬剤です。
当院では、JAK阻害薬を早い段階から安易に前面に出すというより、心血管イベント、悪性腫瘍、血栓塞栓症、感染症などのリスクを丁寧に確認したうえで、必要な場合に慎重に検討する薬剤と考えています。
一方で、生物学的製剤は、メトトレキサートで十分に効果が得られない場合の次の選択肢として、非常に重要な位置づけにあります。
生物学的製剤には、1週間に1度、2週間に1度、4週間に1度など、薬剤によって異なる間隔で自己注射が可能な薬があります。
関節リウマチ治療で大切なのは、「今の薬を何となく続けること」ではなく、「寛解または低疾患活動性という目標に向かって、適切なタイミングで治療を調整すること」です。
関節の腫れや痛みが残っている場合、朝のこわばりが続く場合、CRPなどの炎症反応が高い場合、関節エコーで滑膜炎が残っている場合には、治療を見直す必要があります。
まとめ
EULAR 2025 updateでは、関節リウマチ治療の基本方針として、早期診断、早期治療、Treat to Target、メトトレキサートを中心とした初期治療、短期ステロイドの適切な使用、生物学的製剤の適切な追加、JAK阻害薬の慎重な位置づけ、寛解後の慎重な減量が示されています。
特に大きな変更点は、メトトレキサートを中心とした治療で十分な効果が得られない場合に、予後不良因子の有無で細かく層別化するのではなく、生物学的製剤の追加をより前向きに考える流れになったことです。
これは、メトトレキサートで十分に効かないこと自体が、すでに治療を強化すべきサインである、という考え方に近いと思います。
また、寛解した場合でも、薬を完全に中止するのは現実的には難しいことが多く、まずはステロイドを中止し、そのうえで関節リウマチに対する薬の減量を慎重に考える、という流れになります。
長久手クリニックでは、関節リウマチに対して、関節の診察、血液検査、必要に応じた関節エコーやCTなどを組み合わせながら、病状に応じた治療方針を検討しています。
関節の腫れや痛みが続く方、朝のこわばりがある方、現在の関節リウマチ治療で十分に落ち着いていない方、メトトレキサートや生物学的製剤について相談したい方は、リウマチ科でご相談ください。
長久手市を中心に、日進市、名古屋市名東区の藤が丘・本郷・上社方面、名古屋市守山区、尾張旭市、瀬戸市、東郷町からもご相談いただいています。
Smolen J, Edwards C, Konzett V, et al. EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biologic disease-modifying antirheumatic drugs: 2025 update. Annals of the Rheumatic Diseases. 2026;85:991-1009.



