抗CCP抗体が陽性・高値で関節が痛い方へ|関節リウマチの可能性と早期治療|長久手クリニック
「関節が痛くて血液検査を受けたら、抗CCP抗体が陽性でした。関節リウマチなのでしょうか?」
関節の痛みがあり、さらに抗CCP抗体が陽性・高値であれば、関節エコーで関節炎がないかをしっかり確認することがとても大切です。
血液検査の数値だけで判断せず、今その関節に炎症があるのかを確認することが重要です。
そして、抗CCP抗体が陽性で炎症性の関節炎があれば、関節を守るために早い段階からしっかり治療しましょう。
現在は、メトトレキサートを基本に、病状や治療への反応に応じて生物学的製剤なども含めて治療を組み立てていきます。
関節の痛みがあり、抗CCP抗体が陽性・高値と言われた方は、一度リウマチの専門医で関節の状態を確認してください。
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関節の痛みがあり抗CCP抗体が陽性なら、何を確認する?
一番大切なのは、今「関節炎」があるかどうかを確認することです。
関節が痛いことと、関節炎があることは同じではありません。関節の痛みにはさまざまな原因があります。
関節の痛みの代表的な原因には、変形性関節症があります。手指ではヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症などがよくみられます。これらも厳密には炎症の要素を伴うことがありますが、基本的には関節リウマチのような持続性の炎症性関節炎とは治療の考え方が異なり、痛み止めやリハビリテーションなどで症状を和らげる治療が中心になります。
一方、関節リウマチによる関節炎は、痛み止めやリハビリテーションだけでは病気そのものの進行を抑えることはできません。炎症が続けば関節が傷んでいく可能性があるため、関節炎が確認された場合には、抗リウマチ薬を使って炎症をしっかり抑えることが大切です。
関節炎とは、関節の中で炎症が起こり、関節が腫れたり、動かしたときに痛んだりする状態です。関節リウマチでは、この関節炎を早い段階で見つけ、炎症が続く場合には治療を始めることが大切です。
症状の経過と、抗CCP抗体やRFなどの血液検査を合わせて考えますが、関節の痛みがあり抗CCP抗体が陽性・高値の場合には、関節エコーで現在の関節炎を確認することを重視します。
抗CCP抗体が陽性なら関節リウマチですか?
抗CCP抗体が陽性でも、それだけで関節リウマチと診断するわけではありません。
抗CCP抗体が陽性でも、現在関節炎がない方もいます。一方で、関節の痛みがあり、抗CCP抗体も陽性であれば、関節リウマチがかなり疑わしいです。
抗CCP抗体とリウマトイド因子(RF)は何が違いますか?
どちらも関節リウマチの診療で使いますが、陽性という結果の重みは違います。
CCP抗体の方が圧倒的に重いのです。
複数の研究をまとめた報告では、次の数値が示されています。[1]
| 項目 | 抗CCP抗体 | RF |
|---|---|---|
| 感度 関節リウマチの方のうち、検査が陽性になる割合 | 約67% | 約69% |
| 特異度 関節リウマチではない方のうち、検査が陰性になる割合 | 約95% | 約85% |
抗CCP抗体が陰性でも関節リウマチの方はいます。
RFが高いと言われた方については、こちらの記事で詳しく説明しています。
→ 「RFが高い=関節リウマチ」ではありません。朝のこわばりと受診の目安
見た目で腫れていなくても、関節エコーで炎症が分かりますか?
見た目や触った感触では腫れがはっきりしなくても、関節エコーで炎症が見つかることがあります。
関節エコーでは、関節の内側を覆う「滑膜」の腫れや、炎症に伴う血流の増加などを確認できます。

レントゲンで分かるのは、主に骨の変化です。早期の関節リウマチでは、まだ骨に変化がなく、レントゲンでは異常が分からないことがあります。
関節リウマチは、骨に変化が起きてから治療するのではなく、骨が傷む前に治療することが大切です。そのため、関節の痛みがあり抗CCP抗体が陽性・高値の場合には、関節エコーで滑膜炎や炎症の有無を確認し、診断につなげます。
抗CCP抗体陽性で関節炎があれば、治療しますか?
関節リウマチ、あるいは関節リウマチの可能性が高く、炎症が続くと考えられる早期の関節炎では、当院では早期から積極的に治療します。
早期関節炎に関するEULARの推奨でも、分類基準をまだ満たしていなくても、腫脹関節数、炎症反応、RF、ACPA、画像所見などから持続性関節炎のリスクが高いと判断される場合には、早期に抗リウマチ薬を開始することを検討する考え方が示されています。[2]
関節リウマチなら、しっかり治療しましょう
関節リウマチと診断された場合、あるいは関節リウマチの可能性が高く炎症が続く早期関節炎と判断した場合には、治療を先延ばしにせず、しっかり治療しましょう。
関節リウマチについては、すでに多くの研究が積み重なり、どのように治療を始め、どのように効果を確認し、効果が不十分なら次にどうするかという考え方がかなり集約されています。
現在の治療では、メトトレキサートを中心に治療を開始し、関節の炎症が十分に抑えられているかを確認しながら、必要に応じて薬を調整していきます。効果が不十分な場合には、生物学的製剤なども含めて次の治療を検討します。[3]
薬にはメリットも副作用もあります
「作用が弱い薬=副作用が出ない」というわけではありません。内服薬であっても、薬によっては肝機能障害、重篤な薬疹などのアレルギー反応、血液異常、腎機能への影響などに注意が必要です。
イグラチモドでも肝機能、腎機能、血球数などを確認しながら使用します。また、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)のように比較的古くから使われている内服薬でも、重篤な薬疹や肝機能障害などが起こることがあります。
ですから、「弱そうな薬だから安全」「強そうな薬だから危険」と、薬の強さだけで安全性を判断することはできません。
たとえば、車に乗れば歩くより早く目的地に着けます。これは大きなメリットです。一方で、交通事故のリスクがまったくないわけではありません。
だからといって、事故が怖いから車には絶対に乗らない、とは限りません。シートベルトをする、速度を守る、道路状況を確認するといった工夫をしながら、メリットを活かします。
薬も同じです。副作用があるから使わないのではなく、副作用をどう予測し、どう減らし、どう早く見つけるかを考えながら使います。
当院では内科医として、腎機能、肝機能、血球数、併用薬などを確認しながら、その方にとって副作用ができるだけ少なくなるように治療を組み立てていきます。
→ 続けやすいリウマチ薬「イグラチモド(ケアラム)」の話。関節リウマチ治療薬の特徴と注意点
→ サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)~関節リウマチの大事なお薬~|長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
治療の中心となるメトトレキサート
関節リウマチの治療では、メトトレキサートが中心となる薬です。効果だけではなく、飲み方、副作用、葉酸の使い方なども含めて理解して治療することが大切です。
→ メトトレキサート(リウマトレックス)|関節リウマチと診断された際に知っておきたい治療の基本の話
必要なら生物学的製剤までしっかり治療します
メトトレキサートなどで炎症を十分に抑えられない場合には、生物学的製剤も重要な選択肢です。
「注射だから怖い」「強い薬だから最後まで使わない」と決めてしまうのではなく、今の関節炎を十分に抑えるために必要かどうかで考えます。
→ 関節リウマチの生物学的製剤8種類|自己注射・4週間の費用・選び方|長久手クリニック
メトトレキサートの吐き気・だるさがつらい場合も、治療をあきらめないでください
メトトレキサートを使っていて吐き気やだるさがつらい場合にも、フォリアミンの使い方、投与方法の変更、メトジェクト、生物学的製剤など、治療を続けるための選択肢があります。
→ メトトレキサートで吐き気・だるさがつらい方へ|フォリアミンの工夫、メトジェクト・生物学的製剤という選択肢
治療の目的は「病気の自然歴を変える」ことです
抗CCP抗体が陽性で、関節炎があり、関節リウマチや持続する可能性の高い早期関節炎と判断される場合、そのまま炎症が続けば、将来関節が傷んでいく可能性が高いです。
病気を治療せずにそのまま経過したとき、どのような未来をたどるのかを医学では「自然歴」と呼びます。
抗リウマチ薬を使う目的は、その未来をそのまま受け入れることではなく、病気の自然歴を変えることです。
関節炎は、関節の中で起きている「火事」のようなものです。
大切な家が燃えているのに、じょうろで水をかけ続けるだけでは、家を守れないことがあります。必要なときには消防車でしっかり消火するように、関節リウマチでも、炎症の強さに見合った治療でしっかり炎症を抑えることが大切です。

少し強い言い方をすれば、薬を使って、そのままなら進んでいくかもしれない「運命を曲げる」ということです。
だから、抗CCP抗体が陽性で関節炎があり、治療が必要と判断した場合には、「怖いから薬を使わない」ではなく、薬を使うメリットとデメリットをきちんと比べたうえで、必要な治療を行うことが大切です。
抗CCP抗体陽性・高値 → 関節エコーで関節炎を確認 → 関節リウマチ・持続する炎症性関節炎と判断 → メトトレキサートを中心に治療開始 → 炎症が十分に消えなければ治療を強化 → 必要なら生物学的製剤へ
抗CCP抗体陽性の関節炎は、火事が小さいうちに見つけ、メトトレキサートを中心に治療し、それでも炎症が残るなら生物学的製剤まで使って徹底的に消火する。骨が傷んでからではなく、傷む前に治療することが大切です。
まとめ|怖がりすぎず、関節炎をしっかり確認する
関節の痛みがあり抗CCP抗体も陽性・高値であれば、血液検査の数値だけで結論を出さず、関節エコーで関節炎があるかを確認し、診断につなげます。
そして、関節リウマチや、その可能性が高く炎症が続くと考えられる早期の関節炎が確認された場合には、治療の時期を逃さず、早期からしっかり治療しましょう。
関節の痛みがあり、抗CCP抗体が陽性・高値と言われた方は、一度ご相談ください。
抗CCP抗体の値だけで判断せず、現在の関節炎の有無を確認します。関節の痛みがあり抗CCP抗体が陽性・高値の方では、関節エコーで炎症を確認し、診断につなげます。
抗CCP抗体の値が分かる検査結果、過去の検査結果、お薬手帳があれば受診の際にお持ちください。
抗CCP抗体陽性・関節の痛みについて診療を予約する リウマチ・膠原病外来/デジスマ予約浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




