「RFが高い=関節リウマチ」ではありません。朝のこわばりと受診の目安|長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
健康診断などでRF(リウマトイド因子)が高いと言われると心配になると思いますが、まず知っておいていただきたいのは、RF高値=関節リウマチ確定ではないということです。
健康診断で高血圧や糖尿病を指摘された場合、血圧の値や血糖やHbA1cの値を気にして、食事をただしたりお薬を飲んだりすることで、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ「一次予防」が期待できます。
しかし、関節リウマチに関しては残念ながら、「○○をしたら関節リウマチを防げる」といった絶対的なものはありません。だからこそRFの値だけで不安になりすぎないのが大事です。
健康診断や血液検査でRF(リウマトイド因子)が高いと言われた方に向けて、RF高値の考え方、朝のこわばりの見方、専門医に相談した方がよい症状について説明します。
関節リウマチを疑ったとき、最もよく耳にするサインが「朝のこわばり」です。
しかし、そもそも「こわばり」とは一体どのような感覚を指すのでしょうか?単なる手のむくみや、使いすぎによる重だるさとは何が違うのでしょうか。
一緒に正しい知識を確認してみましょう。
RF陽性は、100人中約5人に見られる数値です
まず知っておいていただきたいのは、「RF陽性(異常)=関節リウマチ」ではないということです。安心してください。
RFの検査は、基準値を15とした場合、健康な一般の方でも約5%、つまり100人のうち約5人は陽性(15を超える)になる検査です。値の異常が出たからといって、すぐに病気だと決めつける必要はありません。
※RFの基準値や健常者での陽性率は、検査方法や年齢などによって幅があります。
RFだけが高く、関節の腫れ、30分以上続く朝のこわばり、腫れて治る関節炎を繰り返すなどの症状がない場合は、RFの数値だけで関節リウマチとは診断しません。
RFが陽性・高値であっても無症状の場合には、必ずしもリウマチ専門医への受診が必要というわけではありません。
一方、RF高値に加えて関節の腫れや朝のこわばり、繰り返す関節炎などがある場合は、RFの数値だけではなく、症状の経過や実際の関節の状態を合わせて確認することが大切です。
RF陽性と「関節リウマチ発症の予防」
残念ながら、「RF陽性の方は、陰性の方に比べて将来の関節リウマチ発症リスクが高い」ことは知られています。
一方で、RFが陽性と分かった段階から生活習慣を変えることで、どの程度その後の関節リウマチ発症を防げるのかについては、まだ十分には分かっていません。
つまり、陽性と分かった段階で「これをすれば確実に発症を防げる」という方法は、残念ながらまだ確立されていません。過度な心配は禁物です。
進行を抑えるための3箇条
ただし、欧州リウマチ連盟(EULAR)は、早期の関節炎から関節リウマチへの進行を予防するために以下の3つを推奨しています。これらはRF陽性で症状がない方にとっても、健康維持のために意識してよい習慣といえます。
・禁煙
・歯周病の治療
・適切な体重管理(減量)
参照:Diagnosis, prognosis and classification of early arthritis: results of a systematic review informing the 2016 update of the EULAR recommendations for the management of early arthritis(DOI:10.1136/rmdopen-2016-000406)
「朝のこわばり」とは?
RFが高いというだけで、症状がまったくない状態を「発症した関節リウマチ」と診断するわけではありません。
実際に関節リウマチを発症すると、関節の腫れやこわばりなど、ご本人が気づく症状が出てきます。
動かしているうちに改善する「ゲル化現象」
関節に炎症があると、長時間じっとしている(安静にする)ことで逆に関節が固まって動かしにくくなります。これを「ゲル化現象」と呼びます。
・朝のこわばり:朝起きた時が一番動かしにくく、30分以上続くのが一つの目安です。
・動かすと楽になる:家事や仕事などで手を動かしているうちに、徐々にこわばりが取れて楽になっていきます。
一方、変形性関節症では、朝のこわばりは比較的短時間であることが多く、動作時の痛みが中心となることが多いです。
RF(リウマトイド因子)は他の病気でも陽性になります
RFは関節リウマチ専用の数値ではなく、以下のように様々な病気や状態で陽性になります。
| カテゴリー | 具体的な病名 | 陽性率(%) |
|---|---|---|
| 膠原病など | シェーグレン症候群 | 75~95 |
| 混合性結合組織病 | 50~60 | |
| 全身性エリテマトーデス | 15~35 | |
| 全身性強皮症 | 20~30 | |
| 皮膚筋炎・多発性筋炎 | 20 | |
| 血管炎(PAN、GPA) | 5~20 | |
| サルコイドーシス | 5~30 | |
| 肝疾患 | 原発性胆汁性胆管炎 | 45~75 |
| 肝炎ウイルス感染症 | 25~76 | |
| 感染症 | 結核 | 15 |
| 梅毒 | 8~37 | |
| ヘルペスウイルス感染症 | 10~15 |
参考文献:Dis Markers. 2013;35(6):727–734. doi: 10.1155/2013/726598. を参考
健康診断でRF陽性と同時に、「炎症反応(CRPなど)がある」「肝臓の数値が悪い」「肺のレントゲンで異常がある」などが指摘されている場合は、背景に何らかの疾患が隠れている可能性があるため、関節の症状がなくても受診を検討してください。
どのようなときに専門医に相談すべきか?

次のような症状がある場合は、RFの数値だけではなく、実際の関節の状態を確認した方がよいと思います。
① スクイーズテスト:
手のひらや足の指の付け根を横からギュッと握ったときに痛みがあるか。上の絵をご参照ください。
② 爪隠しテスト:
手を「グー」にしたとき、指の腫れで爪がしっかり隠れなくなっていないか。上の絵をご参照ください。
③ 朝のこわばり:
30分以上続く朝のこわばりがある、または動かしているうちに関節が楽になる。
④ 関節が腫れて治ることを繰り返す:
ある日突然、手指や手首などの関節が腫れて痛くなったものの、その後きれいに治り、しばらくするとまた同じような関節炎が起こる。
特に④のように、関節の腫れや痛みが出たり消えたりする場合には、「治ったから大丈夫」とは限りません。このような経過をとる病気の一つに回帰性リウマチがあります。
詳しくは、関節が腫れて治る・移動する関節痛|回帰性リウマチの記事をご参照ください。
一方、関節の腫れや朝のこわばりが続いている場合には、関節リウマチについて詳しく解説した記事も参考になると思います。
また、RF高値に加えて、寒いと指先が白くなるレイノー現象、目や口の乾燥、皮膚症状、原因の分からない発熱などがある場合は、関節リウマチだけではなく他の膠原病も含めて考えることがあります。
その場合は、膠原病とは?関節リウマチとの違いを専門医が解説もご参照ください。
RFだけが高く、関節の腫れ、長い朝のこわばり、繰り返す関節炎などがなく、ほかの検査異常も指摘されていない場合には、RFの数値だけで過度に心配する必要はありません。
一方で、上記のような症状が出てきた場合には、その時点でRFの結果と症状を合わせて確認するとよいと思います。
RF高値に加えて、関節の腫れ、30分以上続く朝のこわばり、腫れて治る関節炎を繰り返す方は、リウマチ・膠原病外来で症状と検査結果を合わせて確認します。
健診結果、血液検査結果、お薬手帳があればご持参ください。必要に応じて、診察や関節超音波(エコー)などで関節の状態を確認します。
リウマチ・膠原病外来の診療予約 RF高値+関節の腫れ・朝のこわばり・繰り返す関節炎の相談浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




