「関節の中で、一体なにが起きているの?」関節の痛みや腫れを感じたとき、見えない体の中で何が起きているのか分からず、不安になってしまうことはありませんか?
「検査で異常なしと言われたけれど痛みが続いて…」と受診され、関節リウマチと診断になるかたがいらっしゃります。
今日は、関節リウマチなどの「関節炎」の正体を分かりやすくお話しし、「正しく知れば、怖がりすぎる必要はない」ということをお伝えしたいと思います。
関節炎の正体は関節の「火事」です
「関節炎(かんせつえん)」という言葉。
難しく聞こえますが、私たちはこれをよく「建物(関節)の中で起きている火事」に例えます。
本来なら、細菌やウイルスなどの「外敵」から自分を守ってくれるはずの免疫(警察官のようなもの)が、どういうわけか間違えて、自分自身の関節で暴れてしまっている状態です。
この騒ぎによって熱や腫れが出ます。これが「炎症=火事」です。
火が燃え続けると、少しずつ建物の柱(骨)や壁(軟骨)が焦げて傷んでしまいます。
これが「関節が変形する」仕組みです。
レントゲンで「異常なし」でも安心できない理由
ここが非常に重要なポイントです。
「他の病院でレントゲンを撮ったけど、『骨はきれいだから大丈夫』と言われました」
実は、これが一番の落とし穴になることがあります。
レントゲンとエコーの違い
●レントゲン:
「燃えてしまった後の柱(骨)」を見るのが得意です。
逆に言うと、ボヤが起きている真っ最中でも、まだ骨が燃え尽きていなければ、レントゲンには「異常なし」と写ってしまうのです。
●関節エコー(超音波):
レントゲンには写らない「今まさに燃えている炎(炎症)」を直接見ることができます。
骨が壊れるのを待つのではなく、壊れる前の「ボヤ」の段階で見つける。
そのために、当院ではレントゲンだけでなく「関節エコー検査」を大切にしています。
現代には「優秀な消防隊」がいるので安心してください
もしエコー検査で「火事」が見つかったとしても、安心してください。
現代の医学には、この火を消し止めるための「非常に優秀な消防隊(お薬)」が揃っています。
火の勢いや建物の状況に合わせて、最適な消火活動を行えば、火は消せますし、建物を守り抜くことができる可能性があがります。
当院で主に使用している「頼れる消防隊(治療薬)」について、解説した記事もありますので、ぜひ合わせてご覧ください。
▼ 治療の主役となるお薬(消防隊)たち
- メトトレキサート(リウマトレックス®など)について
世界標準の治療薬で、まずはこのお薬で火を消しに行きます。 - 生物学的製剤(注射の治療薬)について
ピンポイントで火元を狙い撃つ、非常に強力な消防隊です。
焦りすぎないで!時間は十分にあります
最後に、一番お伝えしたいことです。
「早く病院に行かなきゃ手遅れになる!」と、パニックになる必要はありません。
リウマチの火事は、数分で燃え広がる本物の火事とは違い、とてもゆっくり進みます。
骨の影響が出始めるのは、一般的に発症から半年〜1年ほど経ってからです。
今日痛くなって、明日手遅れになるなんてことは絶対にありません。
「1週間様子を見てしまったからダメだ」なんてこともありません。
受診のタイミングが早すぎるとエコー(超音波)でも見つけれないです。数週間の単位で、落ち着いて病院を探せば十分間に合います。
受診のタイミングは?
・「なんとなく関節の痛みが1ヶ月続いている」・「朝、手がこわばって動かしにくい」
これくらいの感覚で、カレンダーを見て「そろそろ一度診てもらおうかな」と思い立ったらご来院ください。
長久手市の方はもちろん、名古屋市名東区、日進市、みよし市、尾張旭市、瀬戸市、豊田市などにお住まいの方もお気軽にご相談ください。
「レントゲンでは分からなかったけれど、エコーで見たらボヤが見つかった」というケースも多くあります。
まずは現状を正しく知って、安心をお持ち帰りいただければと思います。
浅井 昭雅 (医師 医学博士 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医)
長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
浅井 昭雅(あさい あきまさ) 浅井 奈央(あさい なお)
・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医
・日本腎臓学会認定腎臓専門医
〒480-1111 愛知県長久手市山越115番地
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