メトトレキサートで吐き気・だるさがつらい方へ|フォリアミンはいつ飲む?メトジェクトという選択肢も|長久手クリニック
メトトレキサートを飲むと気持ち悪くなる、翌日まで体がだるい、薬を見るだけで吐き気がする。
このような場合、我慢して飲み続けるか、メトトレキサートをやめるかの二択ではありません。
フォリアミンの量や服用日を確認する方法、吐き気止めを予防的に使用する方法、メトトレキサートを飲む時間や回数を調整する方法があります。
それでも吐き気や倦怠感が強く、必要な量までメトトレキサートを使用できない場合には、主に次の3つの治療方法を考えます。
メトジェクトを試してからでなければ、生物学的製剤へ進めないという一本道ではありません。
関節の炎症、年齢、腎機能、吐き気や倦怠感の程度、医療費、患者さんの希望、将来の治療選択肢を合わせて、どの方法がよいかを考えます。
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本記事は、日本リウマチ学会の患者さん向け資料『メトトレキサートを使用する患者さんへ 第4版』を基本資料として作成しています。
日本リウマチ学会『メトトレキサートを使用する患者さんへ 第4版』を読む
メトトレキサートやフォリアミンを飲む曜日、回数、量については、処方した主治医の指示に従ってください。
吐き気や倦怠感があるときに検討できること
メトトレキサートの吐き気や翌日の倦怠感がつらい場合には、次のような方法を検討します。
吐き気や倦怠感があるからといって、すぐにメトトレキサートを完全に中止しなければならないとは限りません。
一方、毎週つらい症状が出て日常生活に影響しているのに、我慢して同じ飲み方を続ける必要もありません。
主治医へ伝えてほしいこと
吐き気や倦怠感がある場合には、単に「気持ち悪い」と伝えるだけでなく、次の点を整理して主治医へ伝えてください。
メトトレキサートを飲む前から吐き気がする方もいます。
毎週つらい症状を経験していると、薬を見るだけ、あるいは服用する曜日を考えるだけで気持ち悪くなる場合があります。
このような症状も、治療方法を見直すうえで大切な情報です。
フォリアミンは当院では翌日に内服する処方が多いです
メトトレキサートは、葉酸の働きを抑えることで効果を示します。
一方で、吐き気、口内炎、下痢、倦怠感、肝機能異常など、葉酸の働きが抑えられることと関係する副作用があります。
これらの副作用を軽減するために使用するのが、葉酸製剤であるフォリアミンです。
日本リウマチ学会の資料では、メトトレキサートの最終服用から24~48時間後、つまり翌日または翌々日に葉酸製剤を服用するとされています。
当院では、少しでも早く吐き気や倦怠感を軽くしたいと考え、メトトレキサートを服用した約24時間後、つまり翌日にフォリアミンを服用していただく処方が多いです。
翌日と翌々日の服用を人で直接比較し、メトトレキサートの効果に差があるかを確認した十分な臨床試験はありません。
一方、ラットの関節炎モデルでは、メトトレキサートと葉酸を同じ日に投与しても、翌日に葉酸を投与した場合と比べて、メトトレキサートの抗炎症効果が低下しなかったという基礎研究があります。
これは人を対象とした臨床試験ではありませんが、フォリアミンは翌日に飲んでもメトトレキサートの効果は大きく変わらないのではないかと考え、当院では翌日に処方することが多いです。
フォリアミンを10mgへ増やすという選択肢があります。ただし、すべて解決するとは限りません
吐き気、倦怠感、口内炎、肝機能異常などがある場合には、フォリアミンを5mgから10mgへ増量することがあります。
2026年に報告された研究では、フォリアミン5mgと10mgを比較したところ、肝機能異常、口内炎、消化器症状など、全体的な副作用には明らかな差がありませんでした。
一方、倦怠感については、10mgへ増量した患者さんで改善する可能性が示されました。
また、過去にフォリアミン10mgと30mgを比較した試験でも、30mgまで増量することによる追加の副作用軽減効果は確認されませんでした。
フォリアミンを10mgへ増やすことは選択肢の一つですが、量を増やせば吐き気や倦怠感がすべて解決するわけではありません。
10mgへ増量してもつらい症状が続く場合には、吐き気止め、飲み方、メトジェクトへの変更などを検討します。
吐き気止めを予防的に使用することがあります
メトトレキサートを飲むたびに、同じタイミングで吐き気が出る方もいます。
その場合には、吐き気が出てから我慢するのではなく、メトトレキサートを服用する日に、ドンペリドンなどの吐き気止めを予防的に使用することがあります。
吐き気止め、フォリアミン、服用時間の調整によって、メトトレキサートを続けやすくなる場合があります。
メトトレキサートの飲み方は1つではありません
メトトレキサートには、1週間分を1回で飲む方法、1週間のうちの同じ日に2回に分けて飲む方法、最大2日間に分けて飲む方法があります。
2025年に発表されたSMART試験では、分けて飲むことで少し早く効果が現れる可能性が示されました。
一方、24週後には、1回で飲む方法より明らかに優れているとは確認されませんでした。
また、分割投与では、メトトレキサートを続けにくくなる症状や肝機能値の上昇が数値上多くみられました。
分割投与には効果が少し早く現れる可能性がありますが、24週後の効果が明らかに優れているとは確認されませんでした。
また、少なくとも副作用の面で分割投与が優れているとはいえません。
当院では、飲み方が分かりやすいこと、飲み間違いを防ぎやすいことも重視し、通常は1週間分を1回で服用していただくことが多いです。
分割すれば必ず吐き気が減るわけではありません。
服用方法を変更しても吐き気や倦怠感が改善しない場合には、内服方法だけにこだわらず、次の治療方法を考えます。
吐き気や倦怠感が強い場合の3つの治療選択肢
フォリアミンや吐き気止めを調整しても、吐き気や翌日の倦怠感が強く、必要な量までメトトレキサートを使用できない場合には、主に次の3つの方法を考えます。
メトジェクトへ変更してから生物学的製剤へ進む、という決まった順番ではありません。
現在の炎症、年齢、腎機能、メトトレキサートを使用できる量、医療費、患者さんの希望、将来の治療選択肢を合わせて考えます。
1.内服からペン型自己注射のメトジェクトへ変更する
メトトレキサートの効果は期待できるものの、飲み薬では吐き気や倦怠感が強い場合には、週1回、ご自宅で使用するペン型自己注射のメトジェクトへ変更します。
「注射」と聞くと、毎日針を刺す治療や、病院で点滴を受ける治療を想像する方もいると思います。
メトジェクトは、週に1回、ご自宅でご自身に行う皮下注射です。
当院ではペン型の製剤を使用しています。お腹などの皮膚にペンを当てて、ご自身で注射します。
採血で使う注射器を自分で操作するものではありません。薬液を自分で吸い上げる必要もありません。
有効成分は内服メトトレキサートと同じです。
別の種類の強い薬へ変更するというより、メトトレキサートを体内へ入れる方法を、飲み薬から皮下注射へ変える治療です。
2.メトトレキサートを少量に減らし、生物学的製剤を追加する
メトトレキサートを完全に中止せず、吐き気や倦怠感が日常生活に影響しない量まで減らし、その量を治療の土台として残します。
そのうえで、費用負担も考慮し、TNF阻害薬のバイオシミラーであるアダリムマブBSやエタネルセプトBSなど、生物学的製剤を追加する方法があります。
一部の生物学的製剤では、メトトレキサートを少量でも併用することで効果が安定しやすくなります。
特にアダリムマブなどでは、メトトレキサートを併用することで薬に対する抗体ができにくくなり、最初は効いていた薬が途中から効きにくくなる「二次無効」を減らせる可能性があります。
3.メトトレキサートを終了し、単剤でも効果が期待できる生物学的製剤を使用する
吐き気や倦怠感が非常に強い場合や、腎機能の低下などによりメトトレキサートを安全に使用しにくい場合には、メトトレキサートを終了します。
その場合には、アバタセプト(商品名:オレンシア)やトシリズマブ(商品名:アクテムラ)など、メトトレキサートを併用しなくても効果が期待できる生物学的製剤を検討します。
年齢を重ねて腎機能が低下すると、将来メトトレキサートを使用できなくなることがあります。
現在メトトレキサートを安全に使用できる方では、吐き気や倦怠感が出ない範囲まで減量し、少量でも治療の土台として残す方法があります。
そのうえで、メトトレキサートを併用しなくても効果が期待できるアバタセプトやトシリズマブを、将来メトトレキサートが使用できなくなったときの治療選択肢として残しておく、という考え方もあります。
一方、すでに腎機能が低下している方や、吐き気や倦怠感が非常に強い方では、現在の時点からメトトレキサートを使用しない治療を選ぶ方がよい場合があります。
メトジェクト、少量メトトレキサートと生物学的製剤の併用、メトトレキサートを使用しない生物学的製剤のいずれがよいかを、現在の病状だけでなく、年齢、腎機能、将来の治療選択肢まで含めて決めていきます。
メトジェクトの開始量と増量
メトジェクトのペン製剤には、次の4種類があります。
通常は週7.5mgから開始し、効果と副作用を確認しながら、4週間を目安に2.5mgずつ増量します。
内服メトトレキサートから変更する場合には、これまで使用していた量や忍容性に応じて、最初から10mgまたは12.5mgを選ぶこともあります。
日本で使用できる最大用量は週15mgです。
メトジェクトの費用
当院では、メトジェクトのペン製剤を使用しています。
週1回、4週間で4本使用した場合の、3割負担の方の薬剤費は次のとおりです。
| メトジェクトの用量 | 1本の薬価 | 3割負担・4週間分 |
|---|---|---|
| 7.5mg | 1,906円 | 約2,300円 |
| 10mg | 2,265円 | 約2,700円 |
| 12.5mg | 2,601円 | 約3,100円 |
| 15mg | 2,910円 | 約3,500円 |
2026年7月時点の薬価をもとに、「1本の薬価×4本×3割」で計算した概算です。実際のお支払いには、診察料、血液検査料、処方・調剤に関する費用、自己注射に関する管理料、フォリアミンなど、ほかの薬の費用が加わります。薬価は改定される場合があります。
なぜ少量でもメトトレキサートを残すことがあるのでしょうか
ここまで読むと、
「そこまでつらいなら、メトトレキサートをやめて別の薬にすればよいのでは」
と思われるかもしれません。
無理にメトトレキサートを続けることが目的ではありません。
一方で、メトトレキサートは関節リウマチ治療の土台となる薬です。
生物学的製剤のなかには、メトトレキサートと併用することで効果が安定しやすい薬があります。
そのため、メトトレキサートを完全に中止する前に、吐き気や倦怠感が日常生活に影響しない範囲まで減量し、少量でも治療の土台として残せないかを考えることがあります。
これは、現在の吐き気や倦怠感を我慢してもらうという意味ではありません。
副作用を抑えながら、現在と将来の治療選択肢を一緒に考えるということです。
メトトレキサートの基本的な役割、開始量、検査、注意点については、 「メトトレキサート(リウマトレックス)|関節リウマチと診断された際に知っておきたい治療の基本の話」 で詳しく説明しています。
関節リウマチの炎症は火事に似ています
関節リウマチの炎症は、火事に例えると分かりやすいと思います。
ある程度大きくなった火事に、じょうろで少しずつ水をかけても、なかなか火は消えません。
関節リウマチでも、中途半端な治療で炎症が残っていると、関節の腫れや痛みが続き、関節破壊が進む可能性があります。
副作用を我慢して薬を増やすという意味ではなく、患者さんが続けられる方法へ調整しながら、炎症をしっかり抑える必要があります。
治療目標に届いていなければ、生物学的製剤を早めに考えます
効果不十分な内服治療を長く続けるのではなく、関節の腫れや炎症が残っている場合には、次の段階の治療を考えます。
メトジェクトへ変更することだけが、吐き気や倦怠感への答えではありません。
関節の腫れや炎症が強く、現在の治療で目標に届いていない場合には、メトジェクトへ変更して効果を待つより、少量のメトトレキサートを残して生物学的製剤を追加する方がよいことがあります。
吐き気や倦怠感が非常に強い場合や、腎機能の問題がある場合には、メトトレキサートを中止し、単剤でも使用しやすい生物学的製剤を選ぶ場合もあります。
明らかな骨びらんがない、自己抗体が高くないという理由だけで、効果不十分な治療を長く続けるのではなく、治療目標に届いていないこと自体を次の治療へ進む判断材料とします。
EULAR 2025 updateに基づく治療の流れは、 「関節リウマチ治療の流れ|2026年最新の推奨にもとづく解説」 で詳しく説明しています。
生物学的製剤の種類、自己注射の間隔、費用、副作用、薬剤の選び方については、 「関節リウマチへの生物学的製剤(バイオ)の自己注射」 をご覧ください。
現在の治療から当院への転院を検討している方へ
関節リウマチの治療を受けている方のなかには、
という方もいると思います。
吐き気や倦怠感のために必要な治療を続けにくいことや、関節の炎症が残っていることは、治療方法を見直すきっかけになります。
当院では、診断や治療方針について意見だけをお伝えするセカンドオピニオン外来は行っていません。
当院での継続診療や転院を希望される方を対象に、現在の病状、これまでの治療内容、吐き気や倦怠感、年齢、腎機能を確認し、今後の治療方針を検討します。
メトトレキサートを続けにくい方、ペン型自己注射のメトジェクトへの変更を検討したい方、少量のメトトレキサートと生物学的製剤の併用、またはメトトレキサートを使用しない治療を検討したい方は、リウマチ・膠原病外来でご相談いただけます。
当院は、意見のみをお伝えするセカンドオピニオン外来は行っていません。当院での継続診療または転院を希望される方が対象です。
転院時には、これまでの採血結果とお薬手帳をご持参ください。
関節リウマチ治療の相談予約 メトトレキサートの吐き気・倦怠感、メトジェクト、生物学的製剤、転院後の継続診療まとめ
メトトレキサートを飲むと吐き気や倦怠感が出る場合、我慢して飲み続けるか、完全に中止するかの二択ではありません。
といった方法があります。
それでも吐き気や倦怠感が強く、必要な量までメトトレキサートを使用できない場合には、
という3つの方法を考えます。
メトジェクトを使用してからでなければ、生物学的製剤へ進めないという順番ではありません。
関節の炎症が残っている場合には、生物学的製剤を早めに追加する方がよいことがあります。
一方で、将来、年齢や腎機能の低下によってメトトレキサートを使用できなくなることもあります。
現在メトトレキサートを使用できる方では、吐き気や倦怠感が出ない範囲で少量を治療の土台として残し、メトトレキサートを併用しなくても効果が期待できる薬を将来の選択肢として残しておく、という考え方もあります。
現在の吐き気や倦怠感だけでなく、年齢、腎機能、関節の炎症、将来の治療選択肢まで考えて治療方法を決めること。
それが、関節破壊を防ぎ、長く治療を続けることにつながります。
浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)



