リウマチ薬が3種類目に…これって普通?最新論文が示す「お薬変更」のリアルと前向きな選択|長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
「知り合いはずっと同じ薬なのに、私はもう3つ目。私の体、おかしいのかな?」
「先生の治療、本当にこれで大丈夫なんだろうか……」
治療のステップアップの中で、こうした切実な不安を伺うことがあります。
長久手クリニックでも、関節リウマチの高度治療を新しく始める患者さんだけではなく、途中でお薬の変更が必要になる患者さんが増えてきました。
実は、お薬を変更しながら「その方に合う治療」を探していくプロセスは、決して珍しいことではありません。
生物学的製剤やJAK阻害薬が3種類目になったからといって、それだけで治療の失敗や、患者さんの体質の問題と決めつけることはできません。
この記事では、2026年に発表された研究で示されたことと、長久手クリニックで患者さんと治療を考えるときに大切にしていることを分けてご説明します。
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この記事でいう「3種類目」とは
この記事でいう「3種類目」は、関節リウマチで使用するすべてのお薬を合わせた通算3種類目、という意味ではありません。
2026年2月に発表された Wipflerらの研究 では、生物学的製剤やJAK阻害薬などの「高度な治療薬」を3剤目まで使用した患者さんについて調べています。
当院では学会のガイドラインにのっとり、まずは土台となるメトトレキサートを開始できるか検討し、効果が不十分な場合などに生物学的製剤やJAK阻害薬といった高度な治療薬へ進みます。
ただ、「新しいお薬を始めたから、これで全て解決」とはいかないのが、関節リウマチ治療の難しいところでもあります。
3剤目に進む患者さんは一定数います
高度な治療を始めても、途中で効果が弱まったり、副作用や生活上の負担が問題になったりして、お薬を変更することがあります。
約11%という数字は、この研究の対象や定義に基づくものです。米国の観察研究ですので、日本のすべての患者さんにそのまま当てはまる数字ではありません。
それでも、高度な治療薬が3種類目になる患者さんが一定数いることは分かります。
お薬を切り替えることは、決して「治療の失敗」と決めつけられるものではありません。関節リウマチの治療の中で、ご自身に合う治療を探していく過程の一つです。
最初の薬選びだけが原因とは限りません
「最初から違う薬を選んでいれば、3つ目まで進まずに済んだのでは?」と後悔される方もいます。
今回の研究では、1剤目を開始した患者さんと、最終的に3剤目まで進んだ患者さんとの間で、最初に選ばれていた高度治療薬の内訳に大きな偏りはみられませんでした。
この研究だけで、一人ひとりがお薬を変更した理由まで断定することはできません。ただ、3剤目まで進んだことを「最初のお薬選びが間違っていたから」と単純に考える必要はないと思います。
当院では、患者さんに説明するとき、お薬と体の「カギ穴の相性」のようなものだとお話しすることがあります。
同じ関節リウマチでも、どのお薬が十分に効くか、副作用なく続けられるかは、一人ひとり異なります。ですから、誰も自分や主治医を責める必要はありません。
薬を変更するときに確認すること
お薬を変更するときは、単に「効いた」「効かなかった」だけで決めるわけではありません。
こうした点を一つずつ確認しながら、次のお薬を考えていきます。
お薬を切り替える2つの考え方
同じ系統のお薬でも、製剤が変わることで効果や続けやすさが異なる場合があります。
作用するポイントを変え、これまでとは別の仕組みで炎症を抑えることを考えます。
このように、作用するポイントを変えながら「あなたにとっての正解」を突き詰めていくのが、現在の関節リウマチ治療の形です。
もしお薬を変えることになっても、それまでの効果、副作用、検査結果、生活上の負担は、次の選択を考えるための貴重な情報になります。
疲労感は検査数値だけでは分からないことがあります
今回の研究が優れているのは、単にお薬の切り替え率だけを調べたのではなく、患者さん自身が感じる病気の負担も調べている点です。
3剤目を開始した患者さんでは、痛みや身体機能だけでなく、疲労感も大きい傾向が示されました。
「痛みは引いたのに、どうしても体がだるい」
「痛みは引いたのに、どうしても体がだるい」……。これも、あなただけではありません。
関節リウマチでは、関節の腫れや検査数値が改善しても、疲労感や体の重さが残ることがあります。
「薬を変えても疲れが取れないのは自分のせい?」と責める必要はありません。
疲労感を一つのお薬だけで完全に解決することは難しい場合があります。関節の炎症だけでなく、睡眠、体力、痛み、気持ちの負担などを含めて、私たちが一緒に考えていくべきテーマです。
炎症を抑えることと、残る症状への向き合い方
3種類目のお薬を使用している患者さんでは、現在の健康状態への満足度が低い傾向も示されました。
ただし、ここで大切なのは、炎症を十分に評価することと、治療後にも残る症状への向き合い方を分けて考えることです。
関節の腫れや炎症が残っている場合は、お薬の調整を含め、治療をもう一度検討します。一方で、残っている痛みや疲労感のすべてが、関節リウマチの炎症だけで起きているとは限りません。
治療が高度になるほど、「次こそは完璧に治るはず」という期待が大きくなり、残ったわずかな痛みや違和感に対するストレスが強まってしまうこともあるのかもしれません。
もちろん、私たち医師は炎症をできるだけ抑え、患者さんが生活しやすくなるよう最善を尽くします。
その上で、時には「ある程度の不自由はあっても、自分のやりたいことができているなら、今の70〜80点の状態でよしとする」といった、良い意味での受容、折り合いをつけることが必要かもしれません。
これは、炎症が残っていても治療を諦めるという意味ではありません。
適度な運動や睡眠の見直し、「完璧でなくても大丈夫」という心理的なゆとりも含め、今の生活の中で何ができるようになったかを一緒に確認していくことが大切だと思っています。
このような方は継続治療をご相談いただけます
長久手クリニックでは、すでに関節リウマチと診断されている方の治療継続や、お薬の変更についてご相談いただけます。
生物学的製剤やJAK阻害薬の変更が続いている方、転医後の継続診療を希望される方は、これまでの治療経過を確認しながら今後の治療を整理します。
お薬手帳、過去の検査結果、現在までのお薬の変更経過が分かる資料があればご持参ください。
関節リウマチの継続治療を相談する 生物学的製剤・JAK阻害薬の変更、治療効果、副作用、転医後の継続診療当院での継続診療について
関節リウマチの治療は、一度だけお話を伺って結論を出すものではありません。
長久手クリニックでは街のクリニックとして、患者さんの経過を継続的に確認しながら、一歩ずつ治療を進めていくことを大切にしています。
当院では、治療方針のみを一度だけ評価するセカンドオピニオンには対応しておりません。一度お会いするだけでは正確な把握やお伝えが難しく、治療の過程に責任を持って継続的に診させていただきたいと考えているためです。
これまでの治療経過を正しく把握するため、過去の検査結果、お薬手帳、薬剤変更の経過が分かる資料、紹介状などがあればお持ちください。
高度な検査設備や複数の専門診療科による精査が必要な状態は、街のクリニックだけで完結させることができません。その場合は、当院への予約を無理に勧めるのではなく、適切な高次医療機関での評価や連携を優先します。
お薬の変更は、納得できる毎日への一歩です
お薬を変える時期は、しんどい時だと思います。
しかし、どうか自分を責めないでください。
お薬の変更は、今のつらさをガマンしすぎず、より自分らしい生活を手に入れようと前向きに一歩踏み出した証拠です。
皆さんが少しでも楽に過ごせる日を増やせるよう、一番いい方法を一緒に探していきたいと思っています。
Wipfler K, Pedro S, Han BK, et al. Disease Burden, Patient Experiences, and Unmet Needs in Those With Rheumatoid Arthritis Initiating a Third Advanced Therapy: Insights From 20 Years of Real-World Data. ACR Open Rheumatol. 2026;8(2):e70180. 論文を確認する
関節リウマチと診断され、生物学的製剤やJAK阻害薬の変更、治療効果、副作用、転医後の継続診療について相談したい方は、リウマチ・膠原病外来をご利用ください。
リウマチ・膠原病外来の診療予約 関節リウマチの治療継続、生物学的製剤・JAK阻害薬、転医の相談浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




