サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)~関節リウマチの大事なお薬~|長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)は、どんな立ち位置のお薬でしょうか。
関節リウマチの治療では、まずメトトレキサート(MTX)が使えるかどうかを考えます。メトトレキサート(MTX)で効果が不十分なら、生物学的製剤を追加することを考えます。
アザルフィジンは、免疫抑制薬ではなく、免疫調節薬に分類される抗リウマチ薬です。
免疫を強く抑えすぎず、じんわり効く、比較的使いやすい良い薬です。
特にメトトレキサート(MTX)を使いにくい患者さんや、ご高齢の方、肺に慢性的な疾患を抱えている方では、大切な選択肢になります。
ただし、使い始めの皮疹(薬疹)と肝機能障害には注意が必要です。特に皮疹は、患者さんご自身にも気をつけていただきたい副作用です。
一方で、関節リウマチを良くする以外にも、メリットがあるかもしれません。それがニューモシスチス肺炎の予防効果です。この点も、2025年の研究をもとにご紹介します。
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関節リウマチ治療の基本:まずメトトレキサート(MTX)、効果不十分なら生物学的製剤
関節リウマチの治療では、関節の炎症を抑えて、関節が壊れていくことを防ぐことが目標です。
まず、メトトレキサート(MTX)を使用できるかどうかを考えます。腎機能、肝機能、肺の状態などからメトトレキサート(MTX)を使いにくい場合には、別の抗リウマチ薬を検討します。
メトトレキサート(MTX)を使える場合でも、十分な量で治療してなお関節の腫れや炎症が残ることがあります。その場合は、漫然と同じ治療を続けるのではなく、生物学的製剤を追加することを考えます。
この治療の流れは、当院の「関節リウマチ治療の流れ|EULAR推奨2025 update」でも詳しく説明しています。
では、アザルフィジンはどんな立ち位置のお薬でしょうか?
サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)は、関節リウマチの治療に使われる抗リウマチ薬の一つです。
比較的古くから使用されてきた薬ですが、長年の経験の中で「免疫を抑えすぎず、じんわり効く薬」として支持されてきました。
アザルフィジンは免疫調節薬に分類され、いわゆる強い免疫抑制薬とは少し立ち位置が違います。もちろん、副作用がないわけではありませんが、比較的使いやすいと考える場面があります。
EULARの治療推奨でも、メトトレキサート(MTX)を使用できない場合や早期に副作用で続けられなくなった場合に、サラゾスルファピリジンは選択肢の一つとされています。
長久手クリニックでも、以下のような関節リウマチの患者さんに対してサラゾスルファピリジンを選択することがあります
※発作の間隔がだんだん短くなってきており、生活に支障が出ているような回帰性リウマチ様のケースでは、イグラチモド(ケアラム)を優先的に使用しています。
また、アザルフィジンだけでは治療目標に届かない場合もあります。生物学的製剤の種類や選び方についてはこちらの記事で説明しています。
使い始めに注意したい皮疹と肝機能障害
サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)は、関節リウマチの治療薬として長く使われてきた、効果と安全性のバランスに優れたお薬です。
しかし、どのような薬でも副作用は一定の割合で起こり得ます。
長久手クリニックでは、以下の点に特に注意しながら使用しています。
重篤な皮疹(薬疹)のリスク
皮疹は、内服を始めてすぐではなく、2〜4週間後に出ることが多いため注意が必要です。
患者さんご自身も、「アザルフィジンを飲み始めてからだいぶ経つから、皮疹の原因は他にあるのでは」と感じてしまい、中止が遅れることがございます。
そのため、治療開始時には患者さんに対して、「皮疹が出たら必ず中止すること。すぐではなく2週間ほど経ってから出ることもあります」という点を繰り返しご説明しています。
飲み始めたあとは、皮膚に赤い発疹が出ていないか気にかけてください。皮疹が出たら服用を中止し、処方医へ速やかに連絡してください。発熱を伴う皮疹、口の中など粘膜のただれ、急速に広がる発疹がある場合は、通常の予約を待たずに速やかな医療機関での評価が必要です。
肝機能障害・血液異常
肝機能や白血球などの異常が起こることもあります。まれに黄疸、肝炎、劇症肝炎、肝不全に至るケースも報告されています。
そのため、長久手クリニックでは肝機能を含む血液検査を定期的に行い、副作用の早期発見と安全性の確保に努めています。
錠剤が大きい
サラゾスルファピリジンは粒が大きいため、飲みにくさを感じる方がいます。嚥下が難しい方や、薬を複数服用している方には慎重に対応しています。
それでも、ニューモシスチス肺炎を予防するメリットがあるかもしれません
注意したい副作用はありますが、アザルフィジンには、関節リウマチの炎症を抑える以外にもメリットがあるかもしれません。それが、ニューモシスチス肺炎(PCP)の予防効果です。
ニューモシスチス肺炎とは、免疫が低下している人がかかりやすい肺の感染症で、原因は「ニューモシスチス・イロベチイ」というカビ(真菌)です。
HIV感染症の患者さんや、ステロイド・免疫抑制薬を使っている方に起こりやすく、関節リウマチで治療中の方も注意が必要な感染症のひとつです。
2025年の研究:関節リウマチ594人を調べたコホート研究
2025年6月、北海道大学の研究グループから、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)を使用している関節リウマチ患者さんでは、ニューモシスチス肺炎の発症が少なかったという研究が発表されました。
新しく抗リウマチ薬を開始・増量した場合や、プレドニゾロンを1日10mgを超えて開始した場合などを対象として、治療開始後1年間の発症を調べています。
※「治療エピソード」は治療の開始・変更を起点にした観察単位で、患者さんの人数とは異なります。
リウマチの専門医のあいだでは、以前から「サラゾスルファピリジンにはニューモシスチス肺炎の予防効果があるのではないか」と経験的に教わってきましたが、今回の研究でその実感が少し裏付けられた形になっています。
そのため長久手クリニックでは、関節リウマチの活動性がある程度コントロールされていても、ニューモシスチス肺炎のリスクが高いと判断される患者さんでは、あえてサラゾスルファピリジンを残すこともあります。
この研究は観察研究です。アザルフィジンにニューモシスチス肺炎の予防効果があると確定したわけではありません。患者さんの病状や併用薬などが結果に影響した可能性があります。
また、アザルフィジンがニューモシスチス肺炎の予防に用いられるST合剤の代わりになると確立したわけではありません。薬を自己判断で開始・中止したり、処方されている予防薬を中止したりしないでください。
出典:Yoshimura M, et al. Sulfasalazine as a Prophylactic for Pneumocystis Pneumonia in Patients With Rheumatoid Arthritis: A Cohort Study. International Journal of Rheumatic Diseases. 2025;28(6):e70325. 原著論文(DOI: 10.1111/1756-185X.70325)
浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




