腎臓が悪いと言われたら|4つの視点で考える腎臓病|長久手市/名東区/日進市/瀬戸市/尾張旭市の方へ
健診や診察で「腎臓の値が悪い」と言われた時、まず知りたいのは、どの病気を考えるのかではないでしょうか。
腎臓病は一つの病名ではありません。
また、1回の採血結果や1つの尿検査だけで、すべてがわかるわけでもありません。
尿蛋白や血尿があるのか、eGFRがどのくらいの速度で下がっているのか、発熱・皮疹・しびれなど腎臓以外の全身症状があるのか、排尿痛や脇腹の痛みなど尿の通り道の症状があるのかを、1・2・3・4の視点で整理して考えることが重要です。
この記事では、病名を並べるのではなく、腎臓の病気をどう分けて考えるかを患者さん向けに整理します。
腎臓病と聞くと、慢性腎臓病だけを思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、尿蛋白・血尿・むくみのように腎臓の中の病気を疑うサイン、eGFRがどのくらいの速度で下がっているかという時間経過、腎臓以外の全身症状があるかどうか、結石や尿路閉塞のように尿の通り道で起きる病気があります。
下の表では、この四つの視点に分けて、最初に見えるサイン、主に考える方向、次に確認することを整理します。
実際の診療では、どれか一つだけで判断するのではなく、四つの視点を把握し、複合的に考えるのが重要です。
| 視点 | 見るところ | 最初のサイン | 主に考える方向 | 次に確認すること |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 腎臓の中のサイン | 尿蛋白が続く | 慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、糖尿病・高血圧に伴う腎障害 | 尿蛋白の量、尿沈渣、腎機能、血圧、糖尿病の状態 |
| 1 | 腎臓の中のサイン | 血尿・尿潜血が続く | 慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、結石、尿路の異常 | 尿沈渣、尿蛋白、症状、必要時のCT、泌尿器科評価 |
| 1 | 腎臓の中のサイン | 数日でむくみが出る | ネフローゼ症候群 | 尿蛋白の量、血清アルブミン、腎機能、体重変化 |
| 2 | eGFRの下がる速度 | eGFRが数日単位で急に下がった | 脱水、感染、薬剤、尿路閉塞などによる急性腎障害 | 直前の体調変化、尿量、内服薬、採血、尿検査、必要時のCT |
| 2 | eGFRの下がる速度 | eGFRが数週間単位で下がった | 急速進行性糸球体腎炎などの活動性の高い腎炎 | 尿蛋白、血尿、尿沈渣、クレアチニンの推移、全身症状、追加採血 |
| 2 | eGFRの下がる速度 | eGFRがゆっくり下がる | 慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、加齢、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など) | eGFRスロープ、尿蛋白、血圧、CTで腎臓の形 |
| 3 | 全身症状の有無 | 尿蛋白・血尿やeGFR低下に加えて、発熱・皮疹・しびれ・関節痛などがある | 二次性糸球体疾患、血管炎・膠原病に伴う腎障害 | 尿蛋白、血尿、尿沈渣、炎症反応、腎機能、自己抗体、補体、血管炎に関わる検査 |
| 4 | 尿の通り道の症状 | 発熱・排尿痛・脇腹の痛み | 尿路感染、尿路結石、尿の詰まり | 尿検査、尿培養、血液検査、必要時のCT |
腎臓の中には、血液をろ過する糸球体があります。尿蛋白や血尿が続く時は、このフィルターに関係する慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)や腎症を考えます。
糖尿病や高血圧は、長い時間をかけて腎臓に負担をかける代表的な背景です。尿蛋白、尿アルブミン、eGFRスロープを重ねて、腎臓への影響があるかを確認します。
数日でむくみが出てきた、体重が増えた、尿蛋白が多い、血液中のアルブミンが低いといった場合には、ネフローゼ症候群のような病気も考えます。
腎臓の数値が悪い時には、時間の経過が重要です。特にeGFRが下がっている場合は、数日単位の変化なのか、数週間単位の変化なのか、数か月から数年かけた変化なのかを分けて考えます。
数日単位で急に悪くなっている場合は、急性腎障害を考えます。下痢、嘔吐、発熱、食事や水分が取れない状態、感染、痛み止めを含む薬の影響、尿路の詰まりなどで、腎機能が急に変わることがあります。
一方、数週間単位で腎機能が下がっている場合は、急速進行性糸球体腎炎のように、急いで評価が必要な腎炎も考えます。尿蛋白、血尿、尿沈渣の異常、発熱、倦怠感、関節痛、皮疹などを合わせて確認します。
数か月から数年かけてeGFRが下がっている場合は、慢性腎臓病として、進む速さと尿蛋白の有無を確認します。慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、糖尿病、高血圧、加齢による変化などを、過去の結果と合わせて確認します。クレアチニンだけで決めつけず、必要に応じてシスタチンCも使いながら考えます。
尿蛋白や血尿を見た時には、腎臓だけを中心に起きている病気なのか、全身の病気の一部として腎臓に出ているのかを分けて考えます。
腎臓の糸球体を中心に起きる病気を一次性糸球体疾患、膠原病や血管炎、糖尿病など全身の病気に伴って腎臓に異常が出るものを二次性糸球体疾患と呼ぶことがあります。
たとえば、尿蛋白や血尿に加えて、発熱、皮疹、しびれ、関節痛、体重減少などがある場合には、血管炎や膠原病などの全身疾患が腎臓に関係していないかを確認します。
血管炎では、急速進行性糸球体腎炎として、数週間単位で腎機能が悪くなることがあります。そのため、腎臓の数値だけでなく、皮膚症状、神経症状、発熱などを合わせて見ることが大切です。
腎臓から膀胱までの尿の通り道にも、腎機能や尿検査に影響する病気があります。尿路感染では、頻尿、排尿時の痛み、下腹部痛、発熱が手がかりになります。尿中の白血球が多い時には、必要に応じて尿培養を行います。
尿路結石では、強い脇腹や背中の痛み、血尿、吐き気を伴うことがありますが、症状が目立たない結石もあります。尿の通り道が詰まると、腎機能が急に悪くなることもあるため、状況に応じて画像で確認します。
男性では前立腺肥大により、尿が出にくい、夜間に何度もトイレへ行く、残尿感があるといった症状が出ることがあります。また、頻尿の背景に糖尿病が隠れていることもあるため、尿糖や血液検査で確認します。
長久手クリニックでは、院内CTで腎臓・尿管を含む尿路側の評価を行うことがあります。ただし、膀胱鏡や前立腺の超音波評価は院内では実施していません。必要と判断した場合は、泌尿器科へご相談いただく流れになります。
長久手クリニックでは、過去の健診結果、尿検査、血液検査、家庭血圧、お薬手帳を確認し、腎機能の変化を線として見ていきます。
eGFRがどのくらいの速度で下がっているのか、尿蛋白や血尿があるのか、糖尿病や高血圧、薬の影響が関係していないかを整理します。
院内CTでは、腎臓の大きさ、左右差、萎縮、嚢胞、結石、尿路の詰まり、腫瘍、大動脈石灰化などを確認します。
特に、尿路閉塞や尿路結石は、症状がはっきりしないまま見つかることもあり、腎機能低下の原因として重要です。
また腎臓内科として、採血・採尿を組み合わせて、緊急性の高い急速進行性糸球体腎炎、膠原病や血管炎に伴う腎障害、ネフローゼ症候群、M蛋白関連腎障害などを疑う所見がないかを確認します。
CTだけ、採血だけ、尿検査だけで診断を決めるのではなく、尿蛋白・血尿・むくみ、eGFRの下がる速度、全身症状、尿の通り道の症状を複合的に見て整理します。
慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、ネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎、膠原病・血管炎、M蛋白関連腎障害など、詳しい評価や腎生検が必要と考えられる場合には、高次医療機関への紹介を検討します。
結石や尿路閉塞、膀胱の詳しい評価が必要な場合には、泌尿器科と連携します。
ただし、膀胱の詳しい観察が必要な時の膀胱鏡、前立腺の超音波評価は院内では実施していません。
必要と判断した場合は、泌尿器科へご相談いただく流れになります。
腎臓の病気は、尿蛋白や血尿、むくみのように腎臓の中の病気を示すサイン、eGFRが下がる速度、腎臓以外の全身症状があるかどうか、結石や尿路閉塞のように尿の通り道で起きる病気に分けて考えると整理しやすくなります。
数日単位で悪くなる場合は急性腎障害、数週間単位で悪くなる場合は急速進行性糸球体腎炎、数か月から数年かけて悪くなる場合は慢性腎臓病として確認します。
また、尿蛋白や血尿に加えて、発熱、皮疹、しびれ、関節痛などがある場合には、血管炎や膠原病に伴う二次性糸球体疾患も考える必要があります。腎臓病の名前には、状態を表す名前、進み方を表す名前、原因や病気の種類を表す名前、病理の名前が混ざるため、検査結果と経過を合わせて整理することが大切です。
腎臓病は、尿だけ、採血だけ、CTだけで判断するものではありません。
尿蛋白・血尿・むくみ、eGFRの下がる速度、全身症状、尿の通り道の症状を複合的に考えるのが重要です。
健診で腎臓の数値を指摘された方、かかりつけの先生から腎臓内科での確認を勧められた方は、過去の結果を持ってご相談ください。



