健診でeGFR低下・腎機能低下と言われた方へ|長久手市・日進市の腎臓内科
「健康診断で腎臓の数値(eGFR)が少し低いと言われたけれど、全く症状はないし、まだ様子見で大丈夫かな……?」
「かかりつけの先生に腎臓が少し悪いと言われたけど、大丈夫なのかな……?」
健康診断の結果で「eGFR」の数値が低く、再検査が必要と判定された際、多くの方が「自分の腎臓は大丈夫なのか」と不安を感じられると思います。
しかし、腎臓の数値は変動があります。一度の数値だけで絶望する必要はありません。
大切なのは、その数値が「あなたの今の体の状態を正確に反映しているか」を精査し、「eGFR」の低下速度が早いのかを確認し、「蛋白尿や血尿」の尿異常の合併がないかを確認することです。
もし本当に低下している、もしくは低下速度が早いのであれば、早期に進行を食い止める対策を講じることです。
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当院には、関節リウマチや膠原病の患者さんは自覚症状があるためか、多くご来院されます。
一方で、健診で腎臓の数値を指摘されて受診される方は、日本の慢性腎臓病の有病率を考えれば多くないです。
健診で異常を指摘されても受診につながらない現状について、私たちに課題があるのではないかと自省を続けています。
説明がとっつきにくくなってしまったり、「受診しても厳しい制限を強いられるのではないか」と不安にさせてしまっているのではないか、と。
当院では、今回ご紹介するeGFRスロープのグラフや、必要に応じてCTで確認する腎臓の形や動脈硬化の手がかりといったビジュアルを一緒に見ながら、ご自身の腎臓の状態を分かりやすく共有したいと考えています。
慢性腎臓病は、かなり進行するまで自覚症状がほとんど出ないことがあります。一度悪化した腎機能を元の状態に戻すことは困難ですが、早めに原因を確認し、eGFRスロープの低下を緩やかにできれば、その後の経過を変えられる可能性があります。
今回は、ビジュアル化による「eGFRスロープ分析」についてお話しします。
「点」ではなく「線」で見ると、未来が予測できるかもしれません
腎臓のろ過機能を測る目安として、血液検査の「eGFR」という数値があります。しかし、1回ごとの結果の上がり下がりだけで判断してしまうと、本当のサインを見逃してしまうことがあります。大切なのは「eGFRスロープ(低下の角度)」です。
複数の疫学研究から、加齢による自然な腎機能(eGFR)の低下は、年間0.5~1.0程度といわれています。スロープを引いた時に、年間2以上の低下が続いている場合は、原因を確認する必要があります。
eGFRの低下速度が速い場合は、脱水や体調変化、服用中の薬、尿蛋白、尿潜血、血圧、糖尿病などを確認し、本当に進行性の腎機能低下なのかを整理します。そのうえで、慢性腎臓病の状態に応じて、減塩や血圧・糖尿病の治療に加え、SGLT2阻害薬を含む治療を検討します。eGFRスロープだけで薬を決めるわけではありません。有効な手立てはございますので、まずは正確な評価を行いましょう。
数値の揺れに一喜一憂しなくて大丈夫です
例えば、「去年の健診ではeGFRが55だったのに、今年は61に上がった。治った」と安心してしまうことがあります。しかし、eGFRはその日の状況によって変動します。
健診当日の絶食による軽い脱水状態や、感染症による体調不良時の採血では数値が悪く出ることがあります。つまり、数値が戻ったのは「本来の実力」が見えただけ、ということも少なくありません。だからこそ、その時々の点ではなく、数年分のデータをつないだ「線(スロープ)」で評価することが欠かせません。
クレアチニンだけでは判断しにくい場合
eGFRは通常、血液中のクレアチニンから計算されます。クレアチニンは筋肉量の影響を受けるため、体格や筋肉量によっては、数値が実際の腎機能とずれることがあります。
そのような場合には、筋肉量の影響を受けにくい「シスタチンC」を使って、別の角度から確認することがあります。シスタチンCだけで判断を完結させるのではなく、尿検査、過去からの変化、必要に応じた画像所見と合わせて見ていきます。
このような方は腎臓内科で一度確認してください
当院で確認すること
受診時には、今回の健診結果だけではなく、過去の数値や尿検査を含めて整理します。患者さんごとに必要な確認は異なりますが、主に次の項目を見ます。
目で見て赤い尿が出ている、強い脇腹や背中の痛みがある、排尿時の痛みや発熱を伴う、尿が出にくいなどの場合は、通常の健診再検査とは状況が異なります。症状が強い場合や診療時間外は、救急を含めて早めに医療機関へ相談してください。膀胱や尿管の詳しい評価、膀胱鏡などが必要と判断した場合は、泌尿器科へつなぎます。
過去からのeGFRの変化に加えて、尿蛋白・尿潜血、血圧、糖尿病や脂質異常症、服用中の薬を合わせて確認します。健診結果、過去の採血・尿検査結果、お薬手帳があればご持参ください。
健診でeGFR低下・クレアチニン高値を指摘された方の腎臓内科予約 尿蛋白・尿潜血や過去からの腎機能低下も合わせて確認しますCT検査で腎臓の「形」と「血管」を詳しく評価する
当院では、eGFRスロープや尿検査に加えて、必要に応じてCT検査を用いることで、血液検査だけでは分からない腎臓の形や、動脈硬化の手がかりを確認することがあります。腎臓の状態をビジュアルで共有し、納得感のある診療につなげたいと考えています。
より正確な「未来の線(スロープ)」を描くためには、過去のデータが大きな手がかりになります。
古いデータや他院での結果も大きな手がかりになります。お手元にある範囲でご持参ください。
当院では、慢性腎臓病の分野において、「かかりつけの先生」と共同して診療を行うことを積極的に行っております。高血圧や高コレステロールなどで通院中のかかりつけの先生がいらっしゃる場合でも、尿検査や腎機能の推移、必要に応じたCT評価を当院で行うことが可能です。必要に応じて連携しながら、腎臓を守る方法を考えていきます。
30年後の自分を守るために確認したい5つの項目
腎臓を守る基本に、特別なことはありません。無理のない食事療法(減塩)をベースにしながら、必要に応じて適切なお薬をうまく組み合わせることです。
腎機能低下を指摘された方では、次の項目を一つずつ確認します。目標値は、年齢、腎機能、糖尿病などの合併症、服用中の薬によって異なるため、一律には決めません。
まとめ
eGFRが低いと言われても、1回の数値だけで腎臓の状態は決まりません。過去からどの程度の速さで低下しているか、尿蛋白や尿潜血を伴っているか、血圧・糖尿病・脂質異常症・薬・脱水などの背景がないかを合わせて確認します。
今回ご紹介したeGFRスロープのグラフや、必要に応じたCTによる画像といったビジュアルを一緒に見ながら、ご自身の体の状態をできるだけ分かりやすく共有したいと考えています。ご自身の目で見て納得していただくことが、将来の腎機能低下を避けるための一歩になると考え、お一人おひとりに合った診療を行います。
浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




