関節リウマチ|長久手クリニック リウマチ科
目次
- 関節炎とは
- 関節リウマチの可能性
- 診断方法
- 関節リウマチの治療法
- メトトレキサート(MTX)
- 生物学的製剤(バイオ製剤)
- 小分子標的化合物(JAK阻害薬)
- 他の原因と症状
- 他病院・クリニックで治療中の方で当院にご興味がある方や転居される方へ
- まとめ
関節炎とは
皆様、「関節痛」を自覚されることはないでしょうか。関節痛にも痛む場所や痛み方など様々です。例えば、朝起きた時に痛みが強い、最初は1か所だったのがほかの場所も痛くなってきた、天気が悪いと痛む、手が握りにくい感じがする、痛みが続くなどありませんか。
関節リウマチは関節炎をきたす病気です。では関節炎とは何か、というと関節がただ痛いだけではなく腫れたり赤くなったり熱をもった状態です。 関節炎の腫れをみるのに「爪隠しテスト」があります。テストと言っても簡単で両手を握ったときに爪が隠れるかどうかをみます。爪が隠れない場合は関節が腫れている可能性があります。 ただご自身で関節炎かどうか判断するのは難しいかと思います。 痛みや腫れがあればご相談くださいね。
関節リウマチの可能性
関節炎があれば「関節リウマチ」の可能性があります。
とくに両方の手や足に症状が出やすい病気です。
関節リウマチは症状が慢性的で複数部位に関節炎を起こしやすいです。
頻度としては男性より女性(1:4)に多いです。
喫煙や肥満、歯周病は関節リウマチの発症リスクを上げます。
診断方法
私たちは患者様の症状をお伺いし、血液検査(リウマチ因子RF・抗CCP抗体など)やレントゲン、超音波検査を行い診断いたします。 これまでリウマチ因子RFや抗CCP抗体が陰性で診断がつかず困っておられる方もいらっしゃるかと思います。定期的にフォローさせていただくことで診断することもできます。
関節リウマチは血液検査だけでは診断はできません。リウマトイド因子(RF)は関節リウマチの患者さんで80%で陽性(感度80%)、抗CCP抗体は関節リウマチの患者さんで50%(感度50%、特異度90%)との報告もあります。
特に最近は年を重ねられた方の中にリウマトイド因子(RF)陰性、抗CCP抗体陰性の関節リウマチの方もいらっしゃいます。
また、リウマトイド因子(RF)やCCP抗体が陽性でも、関節リウマチとは限りません。
関節リウマチの治療法
関節リウマチは新しい飲み薬や注射薬がたくさん出てきており、患者様に合った治療法、お薬をリウマチ専門医として提案させて頂けます。早期に診断し治療をすることで、関節が変形することを抑え、痛みが改善し、痛みのない日常生活を取り戻すことを目標に治療しております。
以前はリウマチの薬の種類が少なく関節の変形を起こしてしまうことも多かったのですが、最近は飲み薬や注射薬など新しい薬がたくさん出てきており、患者様に合った治療法を提案することが可能です。
メトトレキサート(MTX)
飲み薬の中でもリウマチにおいてアンカードラッグといわれる重要なお薬であるメトトレキサート(リウマトレックス MTX)についてご説明させていただきます。
葉酸というビタミンの働きを妨げることによって関節内で炎症を起こす細胞の増殖を抑え関節炎を沈静化します。
飲み方が変わっており週に1~2日だけ内服します。また、副作用予防の葉酸(フォリアミン)をMTX内服後24~48時間後に週1回内服します。
メトトレキサートは、間違って毎日飲むと副作用がでることがあり注意が必要です。
副作用として吐き気や口内炎がでることがあり、内服の量やフォリアミンを飲むタイミングの調整をさせていただきますのでおっしゃってください。
また肝機能障害、血球減少なども生じることがあるので開始後はしばらく2週間間隔で血液検査をさせていただきます。
その他、発熱時やこれまでになかった息切れ、首やわきのしたにできたしこりなどは注意が必要な場合がありますのでおっしゃってください。
また、1箇所に口内炎のようなものが続くときも、粘膜にできたリンパ腫の可能性がでますのでおっしゃってください。長久手クリニックは歯科もありますので、安心です。
怖い副作用もお伝えしましたが、メトトレキサートはリウマチにおいてアンカードラッグといわれる重要なお薬で、効果が期待できます。
私達は、一般社団法人日本リウマチ学会MTX診療ガイドライン小委員会が発刊している「メトトレキサートを使用する患者さんへ」のパンフレットを用いて、ご説明します。
メトトレキサート開始の前に腎臓や肝臓の機能を採血で、肺の状態をレントゲンやCTで確認して、状態を確認してから開始をご提案します。
生物学的製剤(バイオ製剤)
注射のお薬である生物学的製剤(バイオ製剤)についてご説明させていただきます。
メトトレキサートなどの飲み薬では効果が不十分な方や関節炎の程度が強く早期に関節破壊が進行している方などに使用します。
<TNF阻害薬>
・インフリキシマブ(レミケード®):4~8週毎の点滴
・エタネルセプト(エンブレル®、エタネルセプトBS®):1~2週毎の皮下注射
・アダリムマブ(ヒュミラ®、アダリムマブBS®):2週毎の皮下注射
・ゴリムマブ(シンポニー®):4週毎の皮下注射
・セルトリズマブペゴル(シムジア®):2週毎の皮下注射
・オゾラリズマブ(ナノゾラ®):4週毎に皮下注射
<IL-6受容体阻害薬>
・トシリズマブ(アクテムラ®):4週毎の点滴か2週毎の皮下注射
・サリルマブ(ケブザラ®):2週毎の皮下注射
<T細胞共刺激経路阻害薬 CTTLA-4>
・アバタセプト(オレンシア®):1週毎の皮下注射
●長久手クリニックで主に開始している生物学的製剤(バイオ)はエタネルセプトBS、シンポニー、オレンシアとなっています。その他の現在認可されているすべての治療を受けていただけます。
【費用・安全・エビデンスが豊富】
エタネルセプトBS:生物学的製剤の中では値段が安いです。エタネルセプトは減量・休薬・再投与の試験が行われておりエビデンスが豊富です。
高齢社会になっており、関節リウマチの患者さんも高齢の方が多くなっています。高齢の方にも比較的安心して使用できるエビデンスがあります。
高齢でも使用しやすいエビデンス① 高齢になってきますとメトトレキサート(MTX)の減量または休薬を考えますが、エタネルセプト+メトトレキサート併用で寛解・低疾患活動性に至れば、メトトレキサートを休薬しエタネルセプト単独で治療しても有効性が維持されます(CAMEO試験)。
高齢でも使用しやすいエビデンス② 65歳以上と未満で効果と安全性を比較した研究で有意差はなく、高齢の患者さんにも安心に使用できます。
また、イギリスの安全性ガイドラインでも感染リスクが高い患者さん(高齢の方、肺にご病気を抱えている方、ステロイドを使用している方)に対してアバタセプトとならんでエタネルセプトを検討すると記載されています。
1週間に1度投与というのはデメリットに感じるかもしれませんが、1週間で効果が切れてくるので感染症などの合併症が起きたときに、中止しやすいというのがメリットになります。
【1ヶ月に1回でOK】
シンポニー:4週間に1回の皮下注射ですので、長久手クリニックの定期通院の際に注射ができます。メトトレキサートを使用していない患者さんでも注射の中身の有効成分を増量し、効果が増強できます。重症感染症が少ないという報告もあります。
【機序が異なり感染症リスクが低い メトトレキサートを飲まなくても効果あり】
オレンシア:感染症リスクが高い高齢の関節リウマチの患者さんに、感染症発症リスクを高めず安全に治療できる可能性があります。メトトレキサートの併用ができない方にも使用しても効果が期待できます。間質性肺炎の悪化の阻止や改善も期待できます。
選択肢が多数ありますが、お一人お一人にあわせて治療薬を提案させていただきます。
副作用としては感染症、結核(潜在性結核の再活性化)、帯状疱疹、悪性腫瘍、リンパ腫などが挙げられます。その他にもお薬によって注意すべき副作用があり詳しくは診察時に説明させていただきます。
小分子標的化合物(JAK阻害薬)
生物学的製剤に匹敵するような高い効果をもつ飲み薬としてJAK阻害薬があります。
JAK阻害薬にも複数種類のお薬があり腎機能や肝機能によって使い分けが必要ですのでお一人お一人にあわせて治療薬を提案させていただきます。
また副作用としては生物学的製剤同様に感染症、結核(潜在性結核の再活性化)、帯状疱疹、悪性腫瘍、リンパ腫などがあります。
他の原因と症状
関節の痛みや関節炎をおこす病気としては、回帰性リウマチ、変形性関節症、更年期関節症、乾癬(かんせん)、痛風、偽痛風、膠原病など様々な原因があります。
リウマチに似た症状を起こすウイルスもあります。
当院では血液検査やレントゲンの他に、関節エコーを組み合わせて診断しています。
また、健康診断でリウマチ因子(RF)や抗核抗体がひっかかった、家族にリウマチの人がいて心配な方も是非ご相談ください。
他病院・クリニックで治療中の方や転居される方へ
長久手クリニックは小さなクリニックです。
しかし緊急時にはCTや当日採血結果の出る機器を準備し、愛知医科大学病院へスムーズにご紹介が可能です。
大きな病院と異なる点は、①平日午後や土曜午後診療、②待ち時間が短い、③診察する医師はリウマチ専門医・指導医、④転勤がなくずっと治療できます です。
もし転院がご希望でしたら、紹介状なしで転院可能です、お薬手帳はご持参をいただけると幸いです。
他病院からのご紹介もお気軽にどうぞ。点滴以外の生物学的製剤の対応可能です。
まとめ
関節痛が持続し、関節リウマチが不安の方は当院にご来院ください。
また、血液検査の異常(リウマトイド因子、CCP抗体、抗核抗体)を指摘されたあとに自宅での経過観察を言われた方も当院にご来院ください。
ネット予約や電話連絡なくとも、当日受診も対応しています。
皆様の心配事が減って今日も良い一日になりますように。
長久手クリニック
リウマチ専門医・指導医 浅井奈央 浅井昭雅
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車をご利用の皆様
駐車場あり。名古屋・日進・尾張旭・瀬戸・豊田・東郷からもアクセス良好です。
公共交通機関をご利用の皆様
藤が丘からお越しの方:地下鉄東山線藤が丘駅でリニモに乗り換え、リニモの長久手古戦場駅2番出口で下車すぐ前。
豊田市八草・保見からお越しの方:リニモ八草駅から長久手古戦場駅2番出口で下車すぐ前。
日進竹の山や五色園や日進市役所など日進市エリアからお越しの方:名鉄バス85番線を使って古戦場駅で下車し2分。
尾張旭市エリアからお越しの方:名鉄バス80番線を使って古戦場駅で下車し2分。
新城市からお越しの方:新城名古屋藤が丘線 山の湊号 長久手古戦場駅で下車し2分。
特徴
女性医師・リウマチ専門医・腎臓専門医が在籍しております。
イオン長久手店直近。