関節リウマチ|長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
「朝起きると手がこわばる」「指の関節が腫れている気がする」「血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体を調べたけれど、どう考えればよいかわからない」。
このような関節の痛みや腫れは、関節リウマチのこともありますが、すべてが関節リウマチとは限りません。
変形性関節症、更年期に伴う関節症、回帰性リウマチ、膠原病、痛風、乾癬性関節炎、脊椎関節炎など、さまざまな原因があります。
血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体が陽性でも、それだけで関節リウマチと診断するわけではありません。
反対に、これらが陰性でも関節リウマチを完全に否定することはできません。
この記事では、関節リウマチが心配な方に向けて、症状の見方、検査の考え方、治療の進め方を、長久手クリニックの方針も含めて整理します。
関節リウマチと診断された場合も、治療方法は一つではありません。
まずメトトレキサートを安全に使用できるかを考え、効果が不十分であれば生物学的製剤などの次の治療を検討します。
メトトレキサートを使用しにくい場合にも、ほかの治療方法があります。
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関節痛と関節炎は何が違うのか
関節が痛いと「リウマチではないか」と心配になる方は少なくありません。
ただし、関節痛と関節炎は少し意味が違います。
関節痛は、関節の周囲を含めて痛みを感じている状態です。
関節炎は、痛みに加えて、関節の腫れ、熱感、赤み、動かしにくさなどを伴う状態です。
関節リウマチでは、手指や足趾などの小さな関節に炎症が起こることが多く、朝のこわばりが目立つこともあります。
両手を握ったときに、指の関節が腫れて握りにくい、左右で感覚が違う、爪が隠れにくいと感じることがあります。
ただし、この確認だけで関節リウマチを診断することはできません。
痛みだけなのか、関節そのものが腫れているのかを診察で確認することが大切です。
関節リウマチを疑う症状
関節リウマチでは、左右の手や足に症状が出ることがあります。
ただし、病気の始まりから必ず左右対称になるとは限りません。最初は一部の関節だけでも、時間とともに複数の関節へ広がることがあります。
関節リウマチは女性に多い病気ですが、男性にも起こります。
喫煙、肥満、歯周病などは、関節リウマチの発症や病状との関連が報告されています。
長久手クリニックは歯科を併設しているため、必要な場合には歯周病、糖尿病、腎臓病などとの関係も意識して診療しています。
RF・抗CCP抗体が陰性でも、関節リウマチは否定できません
関節リウマチの血液検査として、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体がよく使われます。
どちらも診断の参考になる大切な検査ですが、血液検査だけで関節リウマチを診断したり、完全に否定したりすることはできません。
RFや抗CCP抗体が陰性でも、関節の腫れ方、症状の続き方、関節エコーなどの結果から、関節リウマチと考えることがあります。
反対に、RFや抗CCP抗体が陽性でも、実際に関節炎がなければ、すぐに関節リウマチと診断するわけではありません。
検査値だけではなく、症状、診察所見、画像検査、経過を合わせて考えることが大切です。
長久手クリニックで行う検査
関節リウマチが疑われる場合には、症状と関節の状態を確認したうえで、血液検査、レントゲン、関節エコーなどを組み合わせて評価します。
レントゲンは、関節の骨びらんや変形など、すでに起きた変化を確認する検査です。
一方、関節エコーは、骨が壊れる前の滑膜炎や、現在起きている炎症を確認するのに役立ちます。
当院では、レントゲンだけで判断せず、必要に応じて関節エコーを組み合わせます。
初回の診察だけでは、関節リウマチかどうかがはっきりしないこともあります。
その場合には、関節の腫れ方、症状の変化、血液検査、関節エコーの経過を確認することで診断につながることがあります。
朝のこわばり、手指や足趾の腫れ、複数の関節痛が続く方、RF・抗CCP抗体の異常と関節症状の関係を確認したい方は、リウマチ・膠原病外来でご相談いただけます。
関節症状・関節リウマチの診療予約 朝のこわばり、手指の腫れ、複数の関節痛、RF・抗CCP抗体異常関節リウマチ治療の目標
関節リウマチの治療は、現在の痛みを軽くすることだけが目的ではありません。
関節の炎症を十分に抑え、寛解または低疾患活動性を目指し、将来の関節破壊を防ぐことが目標です。
関節リウマチと診断した場合には、まずメトトレキサートを安全に使用できるかを考えます。
年齢、腎機能、肝機能、肺の状態、感染症、妊娠の希望などから使用しにくい場合には、別の治療薬を考えます。
メトトレキサートを使用できる場合には、効果と副作用を確認しながら治療します。
メトトレキサートを安全に使用できる範囲まで調整しても、関節の腫れや炎症が残る場合があります。
目安として治療開始後3~6か月で治療目標に届かなければ、効果不十分な治療をそのまま長く続けるのではなく、生物学的製剤を追加することを考えます。
レントゲンでまだ骨びらんがないことだけを理由に、関節の炎症が残った状態を続けないことが大切です。
関節リウマチ治療をどのような順番で進めるのかは、次の記事で詳しく説明しています。
関節リウマチ治療の流れ|2026年最新の推奨にもとづく解説|長久手クリニック
まず考える治療薬:メトトレキサート
メトトレキサート(MTX、リウマトレックス)は、関節リウマチ治療で中心的な役割をもつ薬です。
関節リウマチ治療の土台となるため、リウマチ治療の「アンカー薬剤」と呼ばれています。
メトトレキサートは毎日飲む薬ではなく、1週間単位で使用します。
副作用を予防・軽減するために、フォリアミンという葉酸製剤を併用します。
治療を始める前と開始後には、血液検査、肝機能、腎機能、肺の状態などを確認します。
飲み方、フォリアミン、検査、副作用、体調不良時の対応については、初めて使用する方向けの記事で説明しています。
吐き気やだるさがある場合にも、フォリアミンや吐き気止めの調整、量や飲み方の見直し、週1回のペン型自己注射であるメトジェクトなどの方法があります。
メトトレキサートを続けにくい場合・効果不十分な場合
メトトレキサートは関節リウマチ治療の中心となる薬ですが、すべての方が同じように使用できるわけではありません。
吐き気や翌日のだるさが強い方、腎機能や肝機能などの理由で使用しにくい方もいます。
そのような場合でも、関節リウマチの治療ができなくなるわけではありません。
メトトレキサートを我慢して続けるか、治療を諦めるかの二択ではありません。
また、メトジェクトを使用してからでなければ生物学的製剤へ進めない、という決まった順番ではありません。
関節の炎症、年齢、腎機能、副作用の程度、医療費、患者さんの希望、将来の治療選択肢を合わせて考えます。
生物学的製剤などの治療
メトトレキサートだけで十分に炎症が落ち着かない場合には、生物学的製剤を追加することがあります。
生物学的製剤は、関節リウマチの炎症に関わる物質や細胞の働きを狙って抑える治療薬です。
自己注射で継続できる薬もあります。
生物学的製剤へ進むからといって、メトトレキサートを必ず中止するわけではありません。
薬剤によっては、メトトレキサートを併用することで効果が安定しやすいため、副作用が日常生活に影響しない量まで減らし、治療の土台として残すことがあります。
一方、腎機能低下や強い副作用などでメトトレキサートを使用できない場合には、メトトレキサートを併用しなくても効果が期待できる治療薬を検討します。
JAK阻害薬は、関節リウマチの炎症に関わる細胞内の信号を抑える飲み薬です。患者さんの年齢、感染症やそのほかのリスクを確認したうえで、治療候補になる場合があります。
生物学的製剤の種類、自己注射、費用、副作用については、 「関節リウマチの生物学的製剤(バイオ)|自己注射の種類・選び方・副作用」 で解説しています。
関節リウマチ以外の原因
関節の痛みや腫れがあっても、原因が関節リウマチとは限りません。
痛む場所が移動する、腫れが出たり消えたりする場合には、回帰性リウマチなども考えます。
夜間や明け方に腰や背中が痛む場合には、脊椎関節炎が手がかりになることがあります。
「夜間や明け方の腰痛」が「関節の痛み」のヒントかも~脊椎関節炎~
他院で治療中の方・転居される方へ
すでに病院やクリニックで関節リウマチの治療を受けている方で、転居や通院距離などの理由から、当院での継続診療を希望される方も診療しています。
当院では、診断や治療方針について意見だけをお伝えするセカンドオピニオン外来は行っていません。
当院で継続して治療を受けることを希望される方を対象に、これまでの経過と現在の治療内容を確認します。
受診時には、最近の採血結果、お薬手帳、現在使用している注射薬の名称や投与間隔が分かるものをご持参ください。
紹介状や過去の画像検査結果がある場合には、あわせて確認します。
まとめ
朝のこわばり、手指の腫れ、複数の関節痛が続く場合には、関節リウマチを含めて確認する必要があります。
一方、関節痛があるからといって、必ず関節リウマチというわけではありません。
血液検査の結果だけではなく、関節の腫れ、症状の経過、レントゲン、関節エコーなどを合わせて判断します。
関節リウマチと診断した場合には、まずメトトレキサートを安全に使用できるかを考えます。
メトトレキサートで治療目標に届かなければ、生物学的製剤などの次の治療を検討します。
メトトレキサートを続けにくい場合にも、フォリアミンや吐き気止めの調整、メトジェクト、少量のメトトレキサートと生物学的製剤の併用、別の治療薬への変更などの方法があります。
一つの薬を使い続けることが目的ではなく、その方が続けられる方法で関節の炎症を十分に抑えることが目的です。
浅井 昭雅(医師・博士(医学)・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医・日本腎臓学会認定腎臓専門医)




