長久手市の内科・腎臓内科・リウマチ科・膠原病外来・歯科|長久手クリニック

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全身性強皮症とは|3つの抗体と2つの経過|長久手クリニック

全身性強皮症(SSc) とは?pptx (2)

全身性強皮症と診断されて、「これからどうなるのだろう」と不安に感じている方もいらっしゃるかと思います。

また、「寒いと指が白くなる」「指が腫れている気がする」「爪の根元に黒い点がある」「抗核抗体が陽性と言われた」などから、自分は強皮症なのだろうかと心配になって調べている方もいらっしゃるかもしれません。

全身性強皮症は、皮膚だけでなく、血管、肺、消化管などにも影響することがある膠原病です。
病名を聞くと、多くのことが一度に心配になるかもしれません。

ただ、全身性強皮症は一人ひとり経過が異なります。
大切なのは、病名だけで不安になりすぎることではなく、まずどの自己抗体が陽性なのか、そしてゆっくり進む経過なのか、比較的早く進む経過なのかを整理することです。

この記事では、全身性強皮症を必要以上に怖がりすぎず、しかし大事な確認を見落とさないために、3つの抗体2つの経過を中心に説明します。

長久手クリニック 内科・リウマチ科 医師紹介
この記事を書いた医師
長久手クリニック 内科・腎臓内科・リウマチ科
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医、日本腎臓学会認定腎臓専門医
全身性強皮症とは

全身性強皮症は、皮膚や肺、消化管の過剰な線維化末梢循環障害自己免疫や炎症を特徴とする膠原病です。

線維化とは、組織が硬くなったり、しなやかさを失ったりする変化のことです。皮膚では皮膚硬化、肺では間質性肺疾患、消化管では胸やけ・飲み込みにくさ・便秘などにつながることがあります。

また、血管の障害も大切です。代表的な症状として、寒さや緊張をきっかけに指先が白くなるレイノー現象があります。血管の変化は、指先の血流障害だけでなく、肺高血圧症とも関係することがあります。

・皮膚が硬くなる
・手指が腫れる
・レイノー現象がある
・爪の根元に赤みや黒い点のような変化が出る
・胸やけ、飲み込みにくさ、便秘が続く
・息切れや咳が続く
・抗核抗体や強皮症関連自己抗体が陽性といわれた

実際には、「全身性強皮症です」と診断されて受診される方だけではありません。

「寒いと指が白くなる」「指が腫れている気がする」「爪の根元に黒い点がある」「抗核抗体が陽性と言われた」などから、自分は強皮症なのだろうかと心配になって相談される方もいます。

一方で、便秘、逆流性食道炎、なんとなくの指の腫れは、比較的よく見られる症状です。これらだけで、すぐに全身性強皮症を疑うわけではありません。

全身性強皮症を考えるうえで特に大切なのは、レイノー現象と、爪の根元の甘皮まわりに見られる黒い点のような変化です。

便秘や胸やけ、指の腫れといった症状に、レイノー現象、爪のまわりの血管変化、抗核抗体や強皮症関連自己抗体の異常が重なる場合には、全身性強皮症を意識して確認します。

全身性強皮症を疑う大切な所見

レイノー現象

寒さや緊張をきっかけに、指先が白くなったり紫色になったりする症状です。

レイノー現象で指先が白くなる様子

爪上皮出血点

爪の根元の甘皮まわりに見られる、黒い点のような変化です。爪のまわりの細い血管に変化が起きている可能性があります。

爪上皮出血点 爪の根元の甘皮まわりに見られる黒い点

レイノー現象について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

全身性強皮症は、すべての症状が一度に出る病気ではありません。症状の出方、進み方、注意すべき臓器は患者さんによって異なります。

そのため、全身性強皮症を疑う場合には、まず3つの抗体2つの経過で整理して考えることが大切です。

全身性強皮症は「3つの抗体」と「2つの経過」で考えます

全身性強皮症と聞くと、皮膚、肺、消化管、腎臓、血管など、さまざまな臓器のことが一度に心配になるかもしれません。

しかし、全身性強皮症では、すべての患者さんに同じ症状が同じように起こるわけではありません。

大切なのは、病名だけで一括りにせず、どの自己抗体が陽性なのか、そしてゆっくり進む経過なのか、比較的早く進む経過なのかを整理することです。

患者さん向けには、まず次の3つの抗体を目安に考えると理解しやすくなります。

・抗セントロメア抗体
・抗RNAポリメラーゼIII抗体
・抗Scl-70抗体をはじめとするその他の抗体

この3つの抗体を確認したうえで、経過としては大きくゆっくり進むタイプ比較的早く進むタイプに分けて考えます。

全身性強皮症の経過イメージ

全身性強皮症では、ゆっくり進むタイプと、比較的早く進むタイプで、注意する時期や臓器が異なります。下の図のように、どの時期にどの変化を確認するかを整理して考えることが大切です。

全身性強皮症 SSc の経過 ゆっくり進むタイプと比較的早く進むタイプの違い

図は全身性強皮症の経過をイメージしやすくするためのものです。実際の経過は患者さんごとに異なるため、自己抗体、皮膚硬化の範囲、肺・消化管・腎臓・血圧などを組み合わせて判断します。

1. 抗セントロメア抗体
ゆっくり進む経過が多い抗体です

抗セントロメア抗体が陽性の方では、皮膚の硬化が手指や顔など比較的限られた範囲にとどまり、年単位でゆっくり経過することが多いです。

最初にレイノー現象が目立ち、皮膚硬化の進行は比較的ゆっくりであることがあります。このタイプでは、すぐに強い治療を始めるというより、長く経過を見ながら、将来的に注意すべき合併症を確認していくことが大切です。

・レイノー現象が先に出ることが多い
・皮膚硬化は比較的限られた範囲にとどまることが多い
・長い経過で消化管症状に注意する
・長い経過で肺高血圧症に注意する
・定期的な経過観察が重要

抗セントロメア抗体陽性では、急いで治療する対象が明確でないこともあります。そのため、「今すぐ強い治療が必要か」よりも、「どの臓器をどの間隔で確認していくか」が大切になります。

特に、発症から長い時間が経ってから肺高血圧症や消化管病変が問題になることがあります。症状が落ち着いていても、定期的な確認が必要です。

2. 抗RNAポリメラーゼIII抗体
比較的早く進む経過に注意する抗体です

抗RNAポリメラーゼIII抗体が陽性の方では、皮膚の硬化が比較的早く進むことがあります。レイノー現象が目立つ前に、手指全体の腫れや皮膚硬化から気づかれることもあります。

この抗体では、皮膚硬化の進行に加えて、血圧の急な上昇や腎機能の悪化をきたす強皮症腎クリーゼに注意が必要です。

・手指全体が腫れることがある
・皮膚硬化が比較的早く広がることがある
・血圧の急な上昇に注意する
・腎機能の悪化に注意する
・早期から専門病院と連携することがある

抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性では、症状の変化を待ちすぎず、皮膚、腎臓、血圧などを確認することが重要です。

高次医療機関での評価や治療が必要と判断した場合には、愛知医科大学病院などへご紹介します。

3. 抗Scl-70抗体をはじめとするその他の抗体
皮膚硬化や肺病変を早めに確認する抗体です

抗Scl-70抗体は、抗トポイソメラーゼI抗体とも呼ばれます。この抗体が陽性の方では、皮膚硬化が広がりやすく、間質性肺疾患に注意が必要になることがあります。

また、全身性強皮症では抗Scl-70抗体以外にも、症状や検査所見に応じてさまざまな自己抗体を確認することがあります。抗体の種類だけで経過がすべて決まるわけではありませんが、どの臓器を優先して確認するかを考える大切な手がかりになります。

・皮膚硬化が広がりやすい場合がある
・間質性肺疾患に注意する
・息切れや乾いた咳の確認が大切
・胸部CTや肺機能検査が必要になることがある
・必要に応じて専門病院と連携する

治療については、皮膚硬化や間質性肺疾患の程度、自己抗体、全身状態を総合して判断します。リツキシマブなどの専門的な治療が検討される場合には、愛知医科大学病院などの高次医療機関へご紹介します。

つまり、全身性強皮症では「病名そのもの」だけで不安になりすぎるのではなく、どの抗体が陽性なのか、どちらの経過に近いのか、今どの臓器を確認すべきなのかを整理していくことが重要です。

ゆっくり経過をみるタイプなのか、比較的早く専門治療を考えるタイプなのかで、診療の優先順位が変わります。

全身性強皮症で確認しておきたい臓器の変化
皮膚

全身性強皮症では、皮膚が硬くなる範囲と進み方が重要です。手指だけなのか、前腕や上腕、胸、お腹まで広がっているのかによって、経過の見方が変わります。

ただし、初期には手指の変化から始まることが多く、「これから広がりやすいタイプなのか」「ゆっくり経過をみるタイプなのか」を症状だけで判断するのは難しい場合があります。
そのため、自己抗体の種類が重要な手がかりになります。

皮膚硬化が早く広がるタイプの初期症状と判断した場合は、高次医療機関へご紹介し評価や治療を検討することがあります。

血管とレイノー現象

レイノー現象は、全身性強皮症でよく見られる血管の症状です。寒い場所や冷たい水、緊張などをきっかけに、指先が白くなったり紫色になったりします。

指先の血流が悪くなると、痛み、しびれ、皮膚の傷や潰瘍につながることがあります。また、血流が悪い状態では小さな傷が治りにくく、細菌感染を合併することがあります。まれに指先の状態が悪化することもあるため、傷や痛みが続く場合には早めの確認が必要です。

治療では、まず手指を冷やさないことが大切ですし、全身を温めるという観点から温かいお湯・お茶を飲みましょう。血圧が高い場合には、カルシウム拮抗薬という種類の降圧薬を併用することがあります。カルシウム拮抗薬には血管を広げる作用があり、血圧を下げるだけでなく、指先の血流改善を期待して使用します。

全身性強皮症では、間質性肺疾患や肺高血圧症に注意が必要です。

間質性肺疾患では、肺が硬くなり、息切れや乾いた咳が出ることがあります。肺高血圧症では、階段や坂道で息切れが目立つことがあります。

症状が軽い段階では自覚しにくいこともあるため、必要に応じて胸部CT、肺機能検査、心エコーなどを組み合わせて評価します。

消化管

全身性強皮症では、食道や腸の動きが弱くなることがあります。

その結果、逆流性食道炎のような胸やけ、飲み込みにくさ、胃もたれ、便秘などが続くことがあります。ときに便秘が強くなり、腸閉塞に近い状態になることもあります。

消化管症状は生活の質に大きく関わります。症状を我慢せず、どのような症状がどの程度あるかを確認していくことが大切です。

腎臓と血圧

全身性強皮症の中でも、特に抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性の方では、強皮症腎クリーゼに注意が必要です。

血圧の急な上昇、腎機能の悪化、頭痛、息苦しさなどが出る場合があります。頻度は高くありませんが、見逃してはいけない合併症です。

そのため、腎機能や尿検査、血圧の確認も大切です。

長久手クリニックでの対応

長久手クリニックでは、全身性強皮症と診断された方、または全身性強皮症が疑われている方に対して、まず現在の状態を整理します。

大切にしているのは、病名だけで一括りにせず、どの自己抗体が陽性なのかゆっくり経過をみるタイプなのか比較的早く専門治療を考えるタイプなのかを判断することです。

あわせて、現在が診断直後なのか、皮膚硬化が進行している時期なのか、長期経過の中で肺や消化管を確認する時期なのかを整理します。

・皮膚硬化の範囲と進み方を確認します
・レイノー現象や指先の血流障害を確認します
・抗核抗体や強皮症関連自己抗体を確認します
・肺、消化管、腎臓、血圧の状態を確認します
・必要に応じて胸部CTなどを検討します
・専門治療が必要な場合は愛知医科大学病院などへご紹介します

・半年ごとなどの定期的な検査を行います

抗セントロメア抗体陽性でゆっくり進む経過が考えられる場合は、定期的に肺高血圧症や消化管症状などを確認しながら、長期的に経過をみていきます。

抗RNAポリメラーゼIII抗体、抗Scl-70抗体などが陽性で、皮膚硬化が進行している場合、間質性肺疾患が疑われる場合、腎クリーゼのリスクがある場合には、早い段階で専門病院と連携します。

全身性強皮症についてご相談ください

全身性強皮症と診断された方、自己抗体の結果から全身性強皮症の可能性を説明された方、今後の経過観察について相談したい方は、長久手クリニックまでご相談ください。

長久手市を中心に、日進市、名古屋市名東区の藤が丘・本郷・上社方面、名古屋市守山区、尾張旭市、瀬戸市、東郷町、豊田市八草方面からもご相談いただいています。

全身性強皮症に関する当院医師の英語論文

当院医師は、全身性強皮症に関連する肺や腎臓の重症合併症について、英語論文の報告を行ってきました。

Modern Rheumatology Case Reports, 2020/Renal Replacement Therapy, 2025

2026年06月03日 00:01

医療法人雅会 長久手クリニック

〒480-1111 愛知県長久手市山越115番地

内科/TEL:0561-59-1210

歯科/TEL:0561-61-6050

 
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