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【大人の繰り返す熱】原因不明の発熱と自己炎症性疾患について|長久手クリニック|長久手市・日進市・名東区

自己炎症獲得免疫ブログ
原因不明の熱でお悩みの方へ。白黒つけられない「免疫」の病気と、長久手クリニックの考え方
浅井 昭雅 (医師 医学博士 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医)

以前、当院のブログで「移動する関節の痛み(関節炎) 回帰性リウマチ」という記事を書かせていただきました。
ありがたいことに、この記事はたくさんの人の目に留まりました。

読んでくださり受診をいただいた方には「周りに理解してもらえなくてつらかったけど、このような病気があると知れてよかった」といった前向きなコメントをいただき、私自身も発信してよかったと感じています。

さて、今回のテーマは開院してから2年間であえて書いてこなかった内容になります。
というのも、当院でできる「検査」には限りがあるからです。

しかし、回帰性リウマチの記事へのコメントや、また、診療を続ける中で、ある特定の症状で検査を重ねてもどうしていいかわからずお悩みの方が少しずつ増えてきていることもあり、思い切って当院の考え方をお伝えすることにしました。

それは『熱が出ては自然に治るの繰り返し』で、仕事に行けないくらい生活に支障が出ているが、原因が不明といった症状についてです。

もちろん、熱が出る原因として圧倒的に多いのは、風邪などのウイルス感染症です。数日休めばスッキリ治る、咳や喉の痛みを伴う明らかな風邪であれば心配はいりません。
今回お伝えしたいことは、そうした一般的な感染症とは違う、『熱が出ては自然に治るの繰り返し』の原因不明のつらい熱についてです。

「体温が高い=すぐに病気・治療」ではないケースも

コロナ禍では毎日のように検温する機会がありましたが、その際に、特に自覚症状がないのに「自分の平熱が少し高めだ」と気づき、ご相談にいらっしゃる方が増えました。

まず大前提としてお伝えしたいのは、「熱や痛みがなく、ご本人がまったくつらくない」のであれば、必ずしもすぐにお薬などの治療が必要な状態ではないことも多いということです。(もちろん、背後に悪性リンパ腫などの重大な病気が隠れていないかの確認は必要ですが、『機能性高体温症』など、過度に心配しすぎなくてもよいケースも少なくありません。)

私たちが「治療」をご提案するのは、あくまで「自然に治る熱を繰り返し、仕事に行けないくらい生活に支障が出ている」という状況です。
どんなお薬にも副作用というデメリットがあります。治療を行うのは、治療により得られるメリットとデメリットを天秤にかけたときに、「症状が楽になるかもしれない」というメリットが上回ると考えられる場合です。
そのため、ご本人がつらくないのであれば、無理にお薬を飲む必要はないと考えています。

免疫の病気は「自己免疫」と「自己炎症」のグラデーション

「熱が出ては自然に治るのを繰り返すから、病名はなんなのか(黒)、それとも異常はない(白)のか?」
患者さんとしては、はっきりと白黒つけたいと思われるのは当然のことです。

しかし、膠原病などの免疫の病気は、パキッと白黒つけられるものではないことが分かってきています。実際、リウマチや膠原病の専門的な欧米の学会においても、100%確実に病気を確定させる「診断基準」を作ることは難しく、あくまで症状の傾向をまとめた「分類基準」という言葉が使われているほどです。
免疫の病気には、大きく分けて2つの「極」があり、その間が「グラデーション」になっているのです。

1. 獲得免疫寄りの病気(自己免疫疾患:比較的、診断がつきやすい)

外敵を記憶してピンポイントで攻撃する「獲得免疫」の照準が狂い、自分自身を攻撃してしまう病気です。
代表的なものは、朝の手のこわばりや関節の腫れが起きる「関節リウマチ」や、若い女性に多く微熱や多様な症状が出る「全身性エリテマトーデス(SLE)」などです。
これらは血液検査をすると「リウマトイド因子」や「抗核抗体」といった、比較的はっきりとした証拠(自己抗体)が出やすいため、診断の糸口が掴みやすいグループです。

2. 自然免疫寄りの病気(広義の自己炎症性疾患:診断が難しい)

グラデーションの中間に位置し、「自然免疫」の暴走が関わっている病気があります。これを広義の「自己炎症性疾患」と呼びます。

自然免疫は「外敵に対する最初の防衛ライン」であるため、外敵と接しやすい腸や口、皮膚などの粘膜や表面で過剰に反応してしまい、症状が出やすいのが特徴です。

代表的なものに、口内炎や皮膚の症状などを繰り返す「ベーチェット病」や、腸に炎症が起こる「クローン病」「潰瘍性大腸炎」などがあります。
また、夕方以降に高熱が出てピンク色の皮疹や関節痛を伴う「成人スチル病」や、数日で自然に治まる関節炎を繰り返す「回帰性リウマチ」なども、このグラデーションの中に存在すると考えられています。

3. 自然免疫の病気(狭義の自己炎症性疾患:当院での確定診断は無理です)

グラデーションの反対の極にあり、自然免疫の異常が強く遺伝的な要因が関わっているものを、狭義の「自己炎症性疾患」と呼びます。

これらは遺伝子が原因であり、ほとんどが小児期から発症する病気です。
しかし、家族性地中海熱や、まれにTNF受容体関連周期性症候群、PFAPA(プファパ)症候群は、大人になってから発症するケースも存在します。代表的なものが以下の疾患です。

・家族性地中海熱
典型例は「繰り返す半日から3日ほど続く発熱」に「腹痛」「胸痛」「関節炎」を合併します。そのほか筋肉の痛み、足などが赤く腫れる丹毒性皮疹、仙腸関節炎を起こすこともあり、「腹痛」「胸痛」などの発作が月経時に関係することもあります。しかし、大人で発症する場合は熱以外の症状がないことも多いのが特徴です。間欠期(発作のない時)は全くの無症状になります。治療においてステロイドの効果は乏しく、コルヒチンを使用します。
・TNF受容体関連周期性症候群
家族性地中海熱より長め(数日〜数週間)の発熱を繰り返します。痛む場所が移動する筋肉痛、目の周りの腫れ、赤い皮疹などが特徴的な症状です。こちらの病気にはステロイドが効果を示します。
・PFAPA(プファパ)症候群
定期的に高熱が出て、口内炎、咽頭炎(扁桃炎)、首のリンパ節の腫れを伴います。「よく熱を出して扁桃腺が腫れる」と単なる風邪と診断されてしまうことが多い病気ですが、大人でも発症することがあります。こちらもステロイドが効果を示します。近年では、ベーチェット病と連続した「ベーチェットスペクトラム疾患(Behcet's spectrum disease)」という概念で捉えられています。ベーチェット病と区別していくための一つの手がかりとして、胃薬の一種であるシメチジンという薬が効くことがある、という特徴があります。

■ こんなエピソード、ピンときませんか?(家族性地中海熱の非典型例)

当院で確定診断はできずとも、大人になってからご相談に来られる方の中には、実はこうした病気の「熱以外の症状がない非典型的なパターン(不完全型)」が隠れていることがあります。例えば……

  • 「月に1回くらい、決まって38度以上の高熱が出る」
  • 「激しい腹痛などはなく、熱が出るだけ」
  • 「熱は半日〜3日くらいで、放っておいても自然にスーッと下がる」
  • 「熱が下がっている間(間欠期)は、嘘のように元気で全く症状がない」

【治療が必要な方・不要な方】
月に1回の熱であっても、「数日休めば済むし、仕事や生活に大きな支障はない」と思えるのであれば、お薬の副作用というリスクを負ってまで無理に治療をする必要はないでしょう。
しかし、「熱のせいで、仕事に行けないくらい生活に支障が出ている」「熱が出る期間が長くなってきて限界を感じている」というように、明らかにお困りの方は、次にお話しする「前向きな治療」をご提案する対象となります。

遺伝子検査は現時点では「絶対」ではなく、癌の否定も簡単ではない

家族性地中海熱やTNF受容体関連周期性症候群などの病気は「遺伝子検査」で診断が確定すると思われがちです。しかし、現実の医療はそう単純ではありません。周期的な発熱といった特徴的な症状があるのに、遺伝子検査では異常が見つからない(陰性となる)ケースが多数存在します。遺伝子検査は現時点ではあくまで補助であり、「異常がないから病気ではない(完全な白である)」と断言することはできません。

また、原因不明の熱を繰り返すとき、患者さんが一番不安に思うのは「もしかして、癌などの重病ではないか?」ということだと思います。私たち医師にとっても、重大な病気である癌の否定は最も重要です。

しかし、医療において「何も異常がない(完全な白である)」と証明することは非常に困難です。検査をしてもしても、完全には否定できないのです。
大学病院であれば、胃カメラ、大腸カメラ、骨髄生検、PET検査、そして遺伝子検査まで、原因を探すための検査はいくらでもできます。しかし、当院で行える大きな検査はCT検査までという物理的な限界があります。(※採血で調べられる項目については、大学病院と大きくは変わりません)

【がん検診の受診について(重要なお願い)】
重大な病気を見逃さないためにも、当院を受診される皆様には、市などから案内される乳がん、子宮頸がん、大腸がん、胃がんなどの年齢相応のがん検診は、面倒でも毎年必ず受けていただくようお願いしております。

症状がない「なんでもない時」の検査も重要です

熱が出ている時の検査はもちろんですが、熱が下がっている時や、ご自身では「なんでもない」と感じている時に採血をすることも同じくらい重要です。

もし、症状がない時でも採血をして炎症の数値(CRPなど)が高いままであれば、体の中で何かがくすぶっている(明らかに変である)という重要なサインになります。

特に、自己炎症性疾患などで炎症が長期間続くと、SAA(血清アミロイドA)というタンパク質が体内に蓄積し、「アミロイドーシス」という深刻な合併症を引き起こす危険性があります。これは腎臓などにタンパク質が沈着し、臓器の働きを低下させてしまう怖い状態です。
これを防ぐためにも、「熱が下がったから大丈夫」と放置せず、なんでもない時に一度ご来院いただき、体内の炎症レベルがしっかり下がっているかを確認することは非常に大事です。

当院で経過観察・治療できるのは:前向きな治療やフォローをご希望される方へ

大学病院などでたくさんの検査をしても、「原因がわからない」「検査数値に出ないから異常なしと言われた」、また「悪化時には来てねと言われたがなかなか行きづらい」という方に対し、当院では「終わりのない病名(原因)の究明」よりも「今ある症状を良くするための前向きな治療や、適切なフォローアップ」を行っています。

「とにかく病名を確定させたい、原因を100%はっきりさせたい」というご希望に対しては、先ほど申し上げた設備の限界もあり、当院ではお応えすることができません。
当院で経過観察や治療ができるのは、終わりの見えない原因探しに疲れてしまい、白黒つかない「グラデーション」の段階であることをご理解いただいた上で、以下のように考えている患者さんです。

・多少のお薬のリスクを承知の上で、前向きに治療を試みて生活の質を上げたい方
・病気がグラデーションであることを理解し、「今は無理に治療せずに様子を見たい」という方


経過観察(様子を見ること)も、医療においては立派な選択の一つです。

当院では、そのような選択をされた患者さんの思いを尊重し、定期的な採血や診察でしっかりとサポートいたします。まずは「気楽に相談できる地域のクリニック」として経過観察を行い、もし症状が変化したり、より高度な検査や治療が必要になった場合には、適切なタイミングで大学病院などの専門機関へおつなぎします。
※当院ではイラリスの治療は対応しておりません。

ステロイドの頓服(火事をボヤのうちに消す)

たとえば「熱が出ては自然に治るのを繰り返す」という方の場合。熱が出たときにステロイドを数日ほど試していただきます。

ステロイドによる治療は、例えるなら「強力な消火活動」です。燃え盛る火事(炎症)に対して素早く放水し、ただちに火を消すことができます。しかし、強力な放水をしすぎると家自体(自分の体)が水浸しになり、副作用(骨粗鬆症や感染症、胃潰瘍など)でボロボロになってしまいます。
そのため、当院ではダラダラと飲み続けるのではなく、「普段3日寝込んでいたのが、1日や半日で楽になる」のであれば、まずはそれでよしとして、短期間・最低限の量で生活の質を上げることを優先します。
また、このように「ステロイドを短期間使ってスッと効く」場合は、TNF受容体関連周期性症候群やPFAPA症候群寄りであると考える一つの手がかりにもなります。

コルヒチンの使用(発作の予防とコントロール)

周期的な発熱を繰り返し、家族性地中海熱などの関与が疑われる場合や、ベーチェット病の症状に対しては、『コルヒチン』というお薬を試すことがあります。
コルヒチンは昔から「痛風」の発作を抑える薬として有名ですが、実は自然免疫の暴走(インフラマソームという炎症のスイッチの活性化)を強力に抑え込む作用があることが分かっています。

実は、家族性地中海熱が疑われる場合に「コルヒチンを試験的に飲んでみて、症状が良くなるかを見る(診断的治療)」ことは、専門的な診療の場でも行われるアプローチの一つです。もしコルヒチンが効けば、「家族性地中海熱に準じた状態」として考え、治療を継続していきます。
ただし、この薬は熱が出たときに飲んでピタッと下げる特効薬ではなく、毎日飲むことで「発作の回数や程度を減らしていく」お薬です。焦らず気長に構える必要があります。

治療しながら(または待ちながら)「時間」で敵の正体を見極める

原因がはっきりしない状態でお薬を飲むことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「治療に対する体の反応を見ながら、時間をかけて病気の正体を絞り込んでいく(診断的治療)」、あるいは「あえて治療は選択せずに自然にまかせておき、敵の正体が出てくるのを待つ(経過観察)」という考え方も、医療においては非常に重要です。

最初は「グラデーションの中にあって白黒つかない」状態であっても、薬の効き方を見たり、時間経過とともに新たな症状が現れたりすることで、徐々に病気の正体が見えてきて、最終的にしっかりとした「病名」がつくこともあります。

※当院での診療対象について(再度のお願い)

  • 「とにかく病名を確定させたい、原因を100%はっきりさせたい」というご希望に対しては、設備の限界もあり、当院ではお応えすることができません。
  • 原因不明の発熱の診療につきましては、原則として22歳以上の社会人の方を対象とさせていただいております。
  • 小児科領域の専門的な鑑別が必要となるため、15歳以下のお子様の診療は当院では一切行っておりません。必ず小児科などの適切な医療機関をご受診くださいますようお願いいたします。
  • 主に男性医師が担当いたします。女性医師の指定はできませんので、あらかじめご了承ください。

白黒つかない体調不良で、生活に支障が出てお困りの方は、一度ご相談ください。原因探しではなく、一緒に「今の生活を少しでも楽にする方法」を探していきましょう。


浅井 昭雅 (医師 医学博士 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医)


長久手クリニック 内科・リウマチ科・腎臓内科

浅井 昭雅(あさい あきまさ) 浅井 奈央(あさい なお)
・日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医 ・日本腎臓学会認定腎臓専門医

〒480-1111 愛知県長久手市山越115番地
駐車場完備(日進市・名古屋市名東区・みよし市・尾張旭市・瀬戸市・東郷町・豊田市方面からもアクセス便利です)

2026年03月14日 00:00

医療法人雅会 長久手クリニック

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