ご自身の慢性腎臓病進展リスクは? 長久手クリニック
腎機能に影響を与える危険因子
腎機能に関するリスクは、糖尿病だけに限らず、さまざまな要因が関係しています。
健康診断で腎機能に異常が見つかった場合、生活習慣や基礎疾患が腎臓に与える影響を評価し、早期の対応が大切です。
以下のようなリスク因子を持っていると、腎臓に負担をかけ、病気の進行を早める可能性があります。
主なリスク因子
- 喫煙:喫煙は血管を収縮させ、腎臓への血流を減少させるため、腎機能の低下を促進します。禁煙が推奨されます。
- 血圧の管理:高血圧が腎臓に与える影響は大きく、血圧が高いと腎臓の血管が傷つきやすくなります。目標値は130/80mmHg以下です。
- 血糖管理:糖尿病は腎機能を損なう主要な原因です。血糖コントロールをしっかり行うことで、腎症の進行を防ぐことができます。目標はHbA1c 7.0%未満です。
- 肥満:肥満が腎臓に与える負担は大きいため、体重管理を行い、BMIを25未満に保つことが推奨されます。
- 脂質の管理:LDLコレステロールの増加も腎機能低下を加速させるため、LDL-Cを120mg/dL未満に保つことが目標です。
- 運動と塩分制限:定期的な運動(週3回以上、30分以上の有酸素運動)と塩分の制限(1日6g未満)は腎臓の健康に寄与します。
これらのリスク因子を改善することで、腎臓の保護につながり、慢性腎臓病(CKD)の進行を予防できます。
SGLT2阻害薬の効果
特に蛋白尿が出ていたり糖尿病が関与している場合は、SGLT2阻害薬の使用が腎機能保護に効果的です。
SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン)は、糖尿病の治療だけでなく、腎臓を守る効果があります。これらの薬は、腎機能の低下を遅らせ、透析の導入を予防する可能性があるため、特に腎機能に問題がある方に推奨されます。
また、これらの薬は血糖降下だけでなく、体重減少、血圧の低下、脂質改善など、複数の健康面での効果があります。米国糖尿病協会(ADA)のガイドラインでも、CKDを伴う糖尿病患者に対してSGLT2阻害薬の使用が推奨されています。
早期の診断と管理
腎機能の低下が進行する前に、尿検査やeGFR(推算糸球体濾過率)を活用した早期の診断が重要です。
糖尿病性腎症の早期段階では、自覚症状が現れる前に血糖と血圧を適切に管理することで、腎臓へのダメージを防ぐことが可能です。定期的な尿検査を受け、腎機能の進行をチェックしましょう。
腎臓を守るためには、血糖、血圧、脂質の管理が重要であり、これを達成するための治療法としてSGLT2阻害薬の使用が効果的です。慢性腎臓病の進行を防ぐためには、生活習慣の改善と薬物治療の併用が最も効果的です。